著者
川村 英樹 徳田 浩一 川上 雅之 有村 敏明 川口 辰哉 松井 珠乃 西 順一郎
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.282-290, 2017-09-25 (Released:2018-03-25)
参考文献数
14
被引用文献数
3

鹿児島県JMAT(日本医師会災害医療チーム)では宇土市で感染対策チームを構成し,4月21日(本震5日後)~5月1日に被災地医師会と自治体保健活動との協働で避難所感染対策支援活動を行った.今回の研究の目的は避難所感染対策を検証し,有効性を検証することである.各避難所で把握された発熱者,呼吸器・消化器の有症者数を調査票に記録し症候群サーベイランスを実施した.期間中14の指定避難所で40名の呼吸器・8名の消化器の有症状者がみられたが,インフルエンザ・ノロウイルス感染症は除外された.設備・感染対策物品・衛生環境・隔離スペース等を巡回時に確認し,リスクアセスメントを行ったが,次亜塩素酸ナトリウムが不足し,トイレ清掃や吐物処理物品の準備が不十分であった.次亜塩素酸ナトリウム等の必要物品配布やトイレ清掃・吐物処理方法の指導,感染症発症例への対応も併せて実施した.アウトブレイクの発生はなく,リスクアセスメントと症候群サーベイランスを活用した避難所感染対策支援活動は感染拡大防止に有用と思われた.一方,情報収集や活動内容に他の医療支援チームや保健師活動と重複するものもあり,情報共有が可能なスキームの確立が望まれる.
著者
徳永 健太郎 尾田 一貴 岡本 真一郎 右山 洋平 川口 辰哉 蒲原 英伸 山本 達郎 藤井 一彦
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.517-521, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
17

背景:抗菌薬適正使用として狭域経口抗菌薬が処方できる環境を整えることは,耐性菌出現を抑制するために重要である。目的:時間外外来における経口抗菌薬の配置状況を明らかにする。方法:時間外処方せんに薬剤師が対応していない施設を対象とし,郵送によるアンケートにより調査した。結果:配置薬がある14施設のすべてにおいて,「AMR対策アクションプラン」で削減すべきとされた広域の経口抗菌薬である第3世代セファロスポリン系薬とフルオロキノロン系薬が配置薬に含まれていた。一方,『抗微生物薬適正使用の手引き』で使用が言及されていたペニシリン系薬および第1世代セファロスポリン系薬の配置は,それぞれ9施設(64.3%),3施設(21.4%)に留まっていた。結論:時間外外来における経口抗菌薬の配置状況は,抗菌薬適正使用を推進するために改善の余地があると考えられた。