著者
川崎 健太郎 大澤 正人 大野 伯和 小林 巌 藤野 泰宏 中村 毅
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 = The journal of the Japan Surgical Association (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.2557-2560, 2008-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は50代男性.食道癌で右開胸胸部食道全摘,胃管による後縦隔経路再建を施行した.手術時Treitz靱帯より20cmの空腸に経腸栄養チューブを20cm挿入し,Stamm法で腸管に固定,刺入部を腹壁に固定した.術後経過良好であったが術後14日目に左下腹部痛が出現したので16日目にチューブを抜去した.その後も腹痛が持続,22日目に腹部CTを撮影し小腸の腸重積を指摘された.経過観察としたが27日目のCTでも腸重積が認められたため手術となった.開腹すると小腸を腹壁に固定していた部分より肛門側20cmの空腸に約10cmの順行性3筒性の腸重積を認めた.癒着で解除困難であったため小腸切除を行った.腸重積発生部は経腸栄養チューブが位置していた部分であり経腸栄養チューブが誘因になったと考えられた.経腸栄養チューブによる腸重積は非常に稀な合併症であるが,注意を要すると思われた.
著者
森本 大樹 川崎 健太郎 高瀬 至郎 神垣 隆 生田 肇 黒田 大介 黒田 嘉和
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.1617-1622, 2006 (Released:2011-06-08)
参考文献数
40
被引用文献数
5 5

症例は51歳の女性で, 右下腹部痛を主訴に当科を受診した. 右下腹部に圧痛を認めたが, 腹膜刺激症状は認めなかった. 血液検査では軽度の炎症所見を認めるのみであったが, 腹部超音波検査で右下腹部に腫大した虫垂と思われる所見を認めたため, 急性虫垂炎と診断し緊急手術目的にて同日入院となった. 開腹すると, バウヒン弁よりやや肛門側の上行結腸の腸間膜対側にピンホール様の孔と膿瘍を認め, その腸間膜側は穿通して間膜内に膿瘍形成をしていた. 腸管内腔に細い棒状の異物を触知したため異物誤飲による消化管穿孔と診断し, 回盲部切除術, 腹腔洗浄ドレナージを行った. 異物は爪楊枝であった. 急性腹症の診察においては, 異物誤飲の可能性を念頭におく必要があると思われた.