著者
澤村 大輔 生駒 一憲 小川 圭太 川戸 崇敬 後藤 貴浩 井上 馨 戸島 雅彦 境 信哉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.533-541, 2012-09-30 (Released:2013-10-07)
参考文献数
19
被引用文献数
2 5

頭部外傷後注意障害患者の行動観察評価スケールであるMoss Attention Rating Scale (以下, MARS) の日本語版を作成し, その信頼性と妥当性を検討した。対象は頭部外傷後注意障害患者 32 例である。対象者の担当理学療法士, 作業療法士, 言語聴覚士, 臨床心理士, 看護師, 介護福祉士が MARS を施行した。信頼性については MARS 総合得点, 因子得点における評価者内信頼性, 評価者間信頼性を検討し, 妥当性については神経心理学的検査を用い, 基準関連妥当性, 構成概念妥当性を検討した。結果, MARS 総合得点では高い評価者内, 評価者間信頼性 (ICC>0.80) が得られ, 因子得点においても中等度以上の信頼性係数 ICC>0.40 が得られた。また十分な基準関連妥当性, 構成概念妥当性が確認できた。以上より MARS は多職種で使用でき, 注意障害の検出に優れた評価スケールであることが示唆された。