著者
後藤 貴浩
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.147-157, 2017-05-31 (Released:2017-10-30)
参考文献数
31

学習に障害があり、日常生活での車椅子移乗に困難があった高次脳機能障害例に対して行動療法による介入を行った。症例は30歳代男性、広範な右半球脳梗塞により注意障害や半側空間無視を有していた。1カ月の訓練後、移乗における最大能力と日常能力の解離が生じ、その原因が高次脳機能障害による学習の困難さにあると考えられた。そこで行動療法を用いて移乗準備動作訓練を行うこととした。介入デザインは標的行動を四つに細分化したうえで行動間多層ベースラインデザインとした。また介入期を各標的行動に介入する四つの期間に分け、3種類の手がかり刺激を一定期間後に漸減する手法を用いた。評価は介入者から独立した職員が誤り数を指標として行った。約5週間の後に症例の移乗は自立に達した。行動療法は高次脳機能障害者のリハビリテーションにおいても有用である可能性が示され、かつ幅広く適用できる可能性がある。
著者
澤村 大輔 生駒 一憲 小川 圭太 川戸 崇敬 後藤 貴浩 井上 馨 戸島 雅彦 境 信哉
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.533-541, 2012-09-30 (Released:2013-10-07)
参考文献数
19
被引用文献数
2 5

頭部外傷後注意障害患者の行動観察評価スケールであるMoss Attention Rating Scale (以下, MARS) の日本語版を作成し, その信頼性と妥当性を検討した。対象は頭部外傷後注意障害患者 32 例である。対象者の担当理学療法士, 作業療法士, 言語聴覚士, 臨床心理士, 看護師, 介護福祉士が MARS を施行した。信頼性については MARS 総合得点, 因子得点における評価者内信頼性, 評価者間信頼性を検討し, 妥当性については神経心理学的検査を用い, 基準関連妥当性, 構成概念妥当性を検討した。結果, MARS 総合得点では高い評価者内, 評価者間信頼性 (ICC>0.80) が得られ, 因子得点においても中等度以上の信頼性係数 ICC>0.40 が得られた。また十分な基準関連妥当性, 構成概念妥当性が確認できた。以上より MARS は多職種で使用でき, 注意障害の検出に優れた評価スケールであることが示唆された。