著者
川戸 慎二郎 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2577-2584, 2001-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
26

人の表情やジェスチャの実時間認識のために, 顔表情に影響されずに顔の特徴点を検出・追跡し, 顔の位置と向きを推定することが必要である.本論文では, その端緒として両目の間の点(眉間)を実時間で検出する手法を提案する.本研究では実時間処理に重点を置く.肌色領域を抽出することにより処理領域を限定し, 新しく提案するリング周波数フィルタによって眉間の候補点とその画面内回転角を抽出する.各候補点を中心に周囲パターンをその回転角分だけもとに戻した後, 顔画像データベースから得られた眉間平均パターンと比較することにより, 真の眉間を選択する.データベースの顔画像(40人400画像)に対して誤検出率は1.5%であった.実ビデオ画像に適用して, Pentium III 866MHzプロセッサのPCで, 27フレーム/秒の処理速度を確認した.
著者
川戸 慎二郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2334-2341, 1994-12-25
被引用文献数
22

本論文では,多数の視点からの画像を用いて,画像間の対応点探索を必要としない3次元情報抽出法を提案する.画像に現れた特徴点とレンズ中心を結ぶ直線(逆投影直線)を3次元空間中に引くと,その直線は物体上の特徴点を通過する.そこで,対象空間をボクセルに分割し,逆投影直線がその交差するボクセルに1票ずつ投票するものと考えて,視点の異なる多数の画像から投票し,得票値に対してしきい値処理すれば特徴点を含むボクセルが共通ボクセルとして抽出できると予想される.しかし実際には,(1)ボクセルサイズの問題,(2)近接点干渉の問題,(3)遮へいの有無による得票差の問題などがあり,単純ではない.我々は,各逆投影直線ではなく各画像がボクセルを支持するという考え方を取り入れて(1)の問題を解決し,1回目の得票結果に基づいて2回目の投票を行うという2段階投票により(2),(3)の問題を解決することを提案する.この投票方法はボクセルの大きさに影響されないので粗いボクセルから始めて順次必要なボクセルのみを再分割していくアルゴリズムの構成が可能である.合成画像と実画像を用いて実験を行い,対象物の3次元情報が抽出できることを確認した.
著者
川戸 慎二郎 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.452, pp.47-52, 2003-11-13
被引用文献数
4

広範囲なみかけの顔の大きさに対応できる,ビデオ画像中の顔の実時間検出・追跡手法を提案する.顔検出は,6分割矩形フィルター(SSR-filter)で顔の候補を抽出し,サポートベクターマシン(SVM)で判定する.背景の偽候補の抽出を抑制するためフレーム間差分を利用する.顔追跡は,更新型のテンプレートマッチングで眉間パターンを追跡する.みかけの顔の大きさの変化に対応するため,ほぼ1/√<2>の比で順次縮小した画像列を用意し,両目間距離に応じた縮小画像を利用する.15分の手話ニュースから手話キャスターが一人ないし二人登場する7146フレーム(約17frame/sec,320×240pixels,11シーケンス)を抽出し,アルゴリズムを評価した.手のジェスチャーによって顔の追跡がしばしば中断されるが,トータルで89%の顔を追跡することができた.システムをXeon2.2-GHzのPCに組込んで,15frame/secで動作することが確認された.