著者
加藤 博一 Billinghurst Mark Poupyrev Ivan 鉄谷 信二 橘 啓八郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.97-104, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
27
被引用文献数
4 8

人間にとって自然で直感的なインタフェースを設計するためのデザインコンセプトとして,Tangible User Interfaceをあげることができる.このコンセプトに基づき設計された拡張現実感システムを我々はTangible Augmented Reality Interface と呼び,そのプロトタイプシステムをいくつか試作してきた.本論文では,このTangible Augmented Reality Interface について,その特徴,有効性を説明する.また,具体的なプロトタイプシステムとして「Magic Book」および「Magic Paddle」を紹介する.Magic Book は,仮想3次元絵本であり,ユーザは実際の本の上に,仮想的な3次元オブジェクトを見ることができる.さらに,そのシーンの中に入り込むことも可能である.また,この仮想世界の中で,複数のユーザがコミュニケーションをとることもできる.Magic Paddleは,仮想のミニチュア家具のレイアウトシステムで,紙製のパドル(へら状の物体)で,仮想の家具に対する操作ができる.直感的なインタフェースが実現されており,容易に3次元オブジェクトの操作ができる.
著者
桑原教彰 野間 春生 鉄谷信二 萩田 紀博 小暮 潔 伊関 洋
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.11, pp.2638-2648, 2003-11-15
被引用文献数
15 17

医療事故に結び付く可能性のある看護業務の作業環境を改善していくことが求められている.医療事故の原因分析には,事故に関係した医療従事者の行動履歴の情報が重要である.本論文は,看護行為を妨げないウエアラブルセンサにより,看護師の1日の行動を自動計測して,看護履歴を作成するために必要なデータを自動的に収集する手法を提案する.まず看護行動の自動計測方法の基本方針を述べる.次にこの方針に基づいて,音声入力,歩数,姿勢の傾斜角,に着目したウエアラブルセンサを試作し,実際の医療現場で本手法の有効性を示す.具体的には,歩数,上半身の傾斜角だけから日常的に頻繁に実施される看護業務がいくつかに大きく分類できることを示し,その結果と音声認識を組み合わせることで,実際の医療現場で収集したサンプルデータに対して,音声認識単独の場合より高い識別率で看護業務を識別できたこと,および,記録されたデータを看護師の実際の看護記録と比較して,この自動計測法では従来の看護記録には記録されない予定外の行動を含む履歴が残されたことを示す.In order to improve the quality of medical service, we propose a method for auto-event-recording of nursing operations with little disturbance of their moves. We've developed the wearable sensors to allow recording the type of job units by recognizing their voices, the number of foot steps and their physical postures. Several experiments are made by using these sensors at a hospital. Experimental results show that we can categorize the nursing jobs most frequently operated by the nurses, by analyzing data of their foot steps and physical postures. Then, by utilizing this result with the speech recognition, the nursing record is reconstructed, better than that by using only the speech recognition. Finally, by comparing the reconstructed nursing records with the actual ones, we show that our sensors can record the nurse's jobs that are missed on the actual nursing records.
著者
師井 聡子 柴田 良二 笹田 晋司 鉄谷 信二
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.297-305, 2010-09-30 (Released:2017-02-01)

"Floating Words" is a new device for playing with words generated by CG technology in a small water pool. When a player says words to the megaphone-type microphone, the words drip into the water pool as letters. Then the player can scoop or stir them with a ladle. "Floating Words" is a beautiful and poetic interactive installation art work but also a tactile system with real water. In this system, players feel something comfortable and new although it has no artificial force feedback device.
著者
井ノ上 寛人 川端 友未香 鉄谷 信二
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.155-161, 2020 (Released:2020-04-30)
参考文献数
14

When we play three-dimensional computer graphics (3DCG) video games of third-person point of view, we can usually control both an avatar and a camera. There are some enemy characters in the CG game world, and we often lose contact with an enemy after the avatar collides with it. In this paper, we propose a camera control system that the view point makes a half turn in a horizontal direction after the avatar collides with the enemy. The camera shows both of the avatar and the enemy from the backside of the avatar. In addition, we propose a representation technique that obstacles make translucent to avoid occlusion when the avatar collides with the enemy. As a result of subjective evaluation experiment, it was shown that the visual effects of the proposed techniques useful to enhance affective impressions. Therefore, we think that the proposed techniques contribute to qualities of action video games.
著者
大澤 弘樹 森屋 舞子 桑原 教彰 鉄谷 信二
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.573-579, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
14

In recent years, the media develops rapidly, and various media comes up. In the IT (Information-Technology) society, visual information exists a lot. In this situation, mosaic processing is used to hide the image information that must not be understood. However, mosaic, depending on conditions of processing and viewing distance, has a problem such as understanding processed images by mosaic. In this paper, we investigate conditions of understanding Japanese character images under mosaic processing. In addition, we perform visual experiments of the character images for anti-aliasing processing, geometric patterns and contrast.
著者
二宮 利仁 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.292, pp.107-112, 2009-11-12
参考文献数
5

近年,従来のTV動画だけではなく,インターネット,携帯電話等による動画コンテンツを配信する環境が整い,動画コンテンツの配信が容易に行えるようになってきており,動画コンテンツを多く目にする機会が増えている.同じ,動画コンテンツを見る機会も多く,どのような動画コンテンツが飽きにくいかが,制作者にとって必要となっている.本研究では,同一コンテンツの視聴の飽きることに対して,主観評価,視線を用いた客観的評価により,解析を進めた.実験では,同一コンテンツを22回,40回と連続して視聴させる.主観評価で得られた結果と客観評価の結果から,「色」と「文字量」において飽きやすい映像では被験者同士の視線が集まりやすいことが分かった.さらに,「映像の種類(物・サービス)」「人物の有無」「カット数」についても述べる.
著者
柳田 康幸 野間 春生 伴野 明 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.445, pp.87-92, 2002-11-08
被引用文献数
21

バーチャルリアリティにおける感覚提示は従来視覚,聴覚,力・触覚の分野で発達してきたが,その他の感覚も含めた五感を駆使した情報提示へと発展させようとするのは自然な流れである.嗅覚提示の研究は未だ初期段階にあるが,現在までに匂いの強度や匂い物質の混合比率をインタラクティブに制御する試みが見られる.これらの興味の対象は匂いの合成であり視覚提示になぞらえて言えば香りレンダリングとも呼べるものであるが,我々は香り提示装置の側からアプローチを試みる.今回,非装着でかつ体験者ごとの香り空間制御を行うことを目指し,「空気砲」の原理を応用した香り提示手法を考案するとともに,その実現可能性について基礎検討実験を行ったので報告する.
著者
斉藤 裕樹 高山 翼 山上 慶 戸辺 義人 鉄谷 信二
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.773-781, 2014-02-15

GPS機能を備えた携帯端末などによる位置情報取得技術の普及により,人々の訪れた場所どうしを結ぶ行動履歴を解析する研究が活発に行われている.経路情報の蓄積によって得られる行動履歴は,人々の興味と移動との関係を解析する手段として注目されている.一方,TwitterをはじめとするマイクロブログはテキストとともにGPSセンサによる位置情報を付与し,公開することが可能なサービスとして世界的に利用されている.本論文では,マイクロブログ上に蓄積された人々の行動履歴を基に利用者の行動とコンテキストを解析し確率過程モデルに適用させることで,将来の利用者の行動を予測する手法の提案を行う.また,マイクロブログの実データを用いた行動予測精度の評価実験から,単純統計を用いた従来手法より高い予測精度が得られることを確認した.The advance of GPS-enabled portable devices such as PDAs and smart phones facilitates people to record their location histories. Location trajectories imply human behaviors and preferences related for their interests. On the other hand, microblog services such as Twitter enable us to publish text messages (e.g., Tweets) and location-tags (e.g., Geo-tags) to subscribers. This paper proposes a schema for predicting user behavior by analyzing location trajectories and contexts by applying a stochastic model. And, we confirm the effectiveness of our schema through experiment using the actual data obtained from microblog service.
著者
伴野 明 鉄谷 信二 岸野 文郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.867-875, 1993-06-20
被引用文献数
4

指示入力に用いられているマウス操作をより効率的に行う方法として, マウス操作に加えて視線検出をカーソル表示に用いる指示入力法を提案している.この方法の特徴は, 検出された注視点位置にカーソルを発生させ, このカーソルが目標とする場所に入ればマウスにあるボタンを押し, 外れた場合には補助的にマウス操作を用いカーソルを移動させて目標場所に入れることにより, 指示の高速化を図ることである.本手法の有効性を調べるため, 実際にワークステーションで用いられているマルチウィンドウを考慮した表示画面を用いるなど, 実用に合った方法で評価実験を行った.指示入力時間, 誤り率, 注視点の軌跡について分析した結果, 本指示入力法は, 視距離60cmにおいて視線検出誤差が3度以下であれば, マウスのみによる指示入力法に比べて, 指示時間が短く, また, カーソルの発見および操作に関しても, 共に良い主観評価を得た.さらに, 指示入力時の注視点の軌跡を分析し, 主観評価を裏付ける結果を得た.
著者
川戸 慎二郎 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2577-2584, 2001-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
26

人の表情やジェスチャの実時間認識のために, 顔表情に影響されずに顔の特徴点を検出・追跡し, 顔の位置と向きを推定することが必要である.本論文では, その端緒として両目の間の点(眉間)を実時間で検出する手法を提案する.本研究では実時間処理に重点を置く.肌色領域を抽出することにより処理領域を限定し, 新しく提案するリング周波数フィルタによって眉間の候補点とその画面内回転角を抽出する.各候補点を中心に周囲パターンをその回転角分だけもとに戻した後, 顔画像データベースから得られた眉間平均パターンと比較することにより, 真の眉間を選択する.データベースの顔画像(40人400画像)に対して誤検出率は1.5%であった.実ビデオ画像に適用して, Pentium III 866MHzプロセッサのPCで, 27フレーム/秒の処理速度を確認した.
著者
山田 寛 内田 英子 四倉 達夫 森島 繁生 鉄谷 信二 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.712, pp.27-34, 2001-03-14
被引用文献数
5

本研究では、人間が自然な表情を自発した時と普遍的で典型的と言われている表情を演じる時の顔の動きを高速度カメラで撮影し、顔の特徴点の変位の測定に基づいて顔の動きの定量的な特性を分析した。自然な表情は、Gross & Levens (1995)が標準化した情動喚起刺激を被験者に提示することによって自発させた。典型的な表情の演技は、FACSの定義に基づいた。自発表出条件、演技表出条件ともに顔の各部位の動き出しの差は微細であり高速度カメラを用いたことの有効性が示された。また情動ごとおよび表出条件ごとに顔の各部の動きの量や速さに特徴的な違いが認められたが、動きの変化そのものの様相には興味深い共通性が認められた。
著者
川戸 慎二郎 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.452, pp.47-52, 2003-11-13
被引用文献数
4

広範囲なみかけの顔の大きさに対応できる,ビデオ画像中の顔の実時間検出・追跡手法を提案する.顔検出は,6分割矩形フィルター(SSR-filter)で顔の候補を抽出し,サポートベクターマシン(SVM)で判定する.背景の偽候補の抽出を抑制するためフレーム間差分を利用する.顔追跡は,更新型のテンプレートマッチングで眉間パターンを追跡する.みかけの顔の大きさの変化に対応するため,ほぼ1/√<2>の比で順次縮小した画像列を用意し,両目間距離に応じた縮小画像を利用する.15分の手話ニュースから手話キャスターが一人ないし二人登場する7146フレーム(約17frame/sec,320×240pixels,11シーケンス)を抽出し,アルゴリズムを評価した.手のジェスチャーによって顔の追跡がしばしば中断されるが,トータルで89%の顔を追跡することができた.システムをXeon2.2-GHzのPCに組込んで,15frame/secで動作することが確認された.