著者
西尾 勝 新藤 宗幸 三宅 博史 五石 敬路 高井 正 棚橋 匡 木村 佳弘 川手 摂 田中 暁子 萬野 利恵 畑野 勇 小石川 裕介
出版者
公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、「平成の市町村合併」が一段落した現時点において、「平成の市町村合併」がなにをもたらしたのかについて、多面的に把握するために、地域区分変更に関する国際比較を行うとともに、行政(職員数、職種別職員数、行政組織、施設)、財政(普通会計、特別会計、公営企業)及び住民負担、政治(議会議員及び首長の属性)について、それぞれデータベースを作成した。併せて、中央省庁、都道府県、市町村の合併事務担当者などにヒアリング調査を行った。「合併」の効果と喧伝された諸事項は、非合併自治体との比較ではあまり見ることはできなかった。また、行政と住民の距離感が開くなどの「合併の弊害」と想定された項目に対する定数特例や選挙区、地域自治組織などの諸措置は、措置自体の時限性や行政改革の帰結として、事実上剥落していった。以上の分析結果から、「平成の市町村合併」とは、「究極の行財政改革」を市町村に推進させるためのツールであった、と評価できる。