著者
望月 和樹 木村 真由 川村 武蔵 針谷 夏代 合田 敏尚
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.18, no.8, pp.375-381, 2018 (Released:2019-09-02)
参考文献数
26
被引用文献数
2 2

中鎖脂肪(MCT)は,中鎖脂肪酸とグリセロールによって構成される。MCTは,小腸において脂肪酸に素早く分解され,その後長鎖脂肪と比較してエネルギー源として素早く代謝される。これは,MCTの消化吸収には胆汁によるミセル化のステップが必要ないことや,小腸で消化された中鎖脂肪酸は,中性脂肪に再合成されることなく,ミトコンドリアのβ酸化の律速ステップである脂肪酸とカルニチンとの結合が必要ないことによる。加えて,MCTを動物モデルに投与すると,β酸化,解糖系,クエン酸回路,電子伝達系,脂肪酸合成経路といったエネルギー代謝経路の遺伝子発現や酵素活性を増大することが明らかとなっている。また,MCTの摂取は,インスリン抵抗性や低栄養を有する動物モデルにおいて,インスリン作用を増大させることがわかっている。これらの結果は,MCTは,エネルギー源としてだけではなく,律速酵素の活性や発現を増大させることによって積極的にエネルギー代謝を活性化する作用を有することを示唆している。さらに,近年の研究によって,β-ヒドロキシ酪酸やクエン酸のようなMCTの代謝産物は,エピジェネティックメモリーの一つであるヒストンアセチル化修飾を増大させる能力を有することがわかってきた。我々は,中鎖脂肪酸であるカプリル酸は,小腸において脂肪や糖質の消化吸収関連遺伝子だけではなく,転写因子であるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体やヒストンアセチル基転移酵素であるCBP/p300の遺伝子発現を増大させることを明らかにした。これらの研究成果は,MCTは,代謝関連遺伝子やヒストンアセチル化修飾を誘導する遺伝子の発現を増出させることによって,代謝や栄養素の消化吸収を増大しうることを示唆している。
著者
川村 武 菅原 宣義 柏 達也 田口 健治
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

暴風雪悪視界下の車両のナビゲーションシステムをUHF帯RF-IDシステムを用いて構築することが本研究の目的であった。まずRF-IDタグをアスファルト道路中に埋めるための埋設方法を検討し,実用に供するに足る埋設方法を開発した。またUHF帯RF-IDタグの埋設間隔などのシステムの構築方法を屋外の計測実験より導き,実験道路にRF-IDタグを埋設し,実験を行った。誘導用のGraphical User Interface(GUI)をWindows Xp上に作成し,誘導実験を行った。またシステムに用いるアンテナの数を1個から2個に増やし,これに対応するGUIも作成した。屋外実験において,視界の良い天候でも,暴風雪悪視界の状況を再現するために実験車両の運転席前面のウィンドウにビニール製発泡梱包材をはり,前方が見にくい条件下で走行実験を行った。その結果,発泡梱包材をはった悪視界下でも車両を良好に誘導できた。700MHz帯でのRF-IDシステムの対応に備えて,同周波数の交差点等での電波伝搬に関するシミュレーション実験を行い同周波数帯の交信に関する知見を得た。