- 著者
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川浦 光弘
- 出版者
- 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
- 雑誌
- 日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
- 巻号頁・発行日
- vol.108, no.12, pp.1129-1134, 2005-12-20 (Released:2010-10-22)
- 参考文献数
- 18
耳鼻咽喉科医にとって扱う救急疾患のひとつに鼻出血があげられるが, 外来の簡単な処置で止血できる場合と止血に難渋して入院を余儀なくさせられ, 外科的治療が必要になる場合と千差万別である. 患者の状態もさることながら鼻出血の治療はそれを扱う医師の技量と施設設備によってばらばらであり, きちんとしたガイドラインがないのが現状である. 耳鼻咽喉科医としてすべきことは確実な止血と原因となる疾患があればその的確な診断が必要で, そうすることにより患者を重篤な状態に陥ることを防ぐことが出来る. 止血に必要な知識である鼻腔の解剖と原因疾患を示し, 鼻出血患者がきた場合の対応と出血部位別の止血治療の流れをフローチャートに示し保存的治療と外科的治療の方法を述べた. 保存的治療はガーゼタンポンとバルーンタンボンが主であまり変化がないと思われるが外科的治療は今後内視鏡下の止血術が主流になると思われ, 当院で行った再出血を繰り返した鼻出血に内視鏡下止血術を施行した1例を報告した.