著者
吉長 裕司 金川 明弘 川畑 洋昭
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.3252-3255, 2003-12-15

大学生を対象としたタッチタイピング教育において,打鍵能力に加えて学習者の初期熟達感(慣れの意識)を測定した.「少し慣れた」以上の初期熟達感に達した日と,練習目標とした自己流タイピングの入力時間を更新した日との関係に着目し,学習者を,(1)「慣れた日」が「更新した日」より早い群,(2)「慣れた日」と「更新した日」が同じ群,(3)「更新した日」が「慣れた日」より早い群の3群に分類した結果,3群間の自己流タイピングの入力時間に1%水準で有意差があることが確認された.この結果に基づき,各群の習熟特性を考察するとともに,学習者の自己流タイピングと初期熟達感を考慮に入れた練習目標の設定方法を提案した.
著者
高橋 泰嗣 佐藤 亮太郎 川畑 洋昭 高橋 浩光 加藤 幹雄 高橋 眞映
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

バナッハ空間の構造を調べるには、空間のもつ様々な性質及びそれら諸性質の相互の関係を詳細に考察することが必要である。本研究では、古典的なノルム不等式及びその一般化を用いて、空間の様々な性質を特徴づけ、諸性質の相互の関係を明らかにした。以下に、得られた結果の概要を示す。1.Clarkson型不等式とバナッハ空間の幾何学:Clarkson不等式(CI)の一般化として、多次元版及び重みつきを考察した。また、これらの不等式を用いて、空間の様々な性質(type-cotype,一様凸性など)を特徴づけた。更に、ランダムClarkson不等式の一般化も考察した。2.Von Neumann-Jordan(NJ-),James(J-)定数とバナッハ空間の幾何学:バナッハ空間のNJ-定数をJ-定数を用いて評価した。また、空間の正規構造係数をNJ-定数で評価した。更に、J-定数の一般化としてJames型定数を導入し、これらの定数との関連で空間の様々な性質を考察した。3.Hlawka型不等式とその拡張:空間のtype-cotypeとの関連でHlawka不等式の一般化を考察した。また、Hlawka不等式の拡張を積分形で与え、その応用としてDjokovic不等式を重みつきで与えた。これらの逆不等式の考察、及び、新たな解釈なども与えた。4.Absolute normについて:空間の幾何学的性質の多くが2次元的であることから、C^2上のabsolute normに着目し、その基本的な性質を対応する凸関数との関連で調査した。また、一般のバナッハ空間の直和にabsolute normを導入し、この空間の一様凸性や狭義の凸性を対応する凸関数との関連で調べた。更に、C^n上のabsolute normについても考察した。その他、種々のノルム不等式の拡張、エルゴード定理の拡張、ウェーブレット解析の応用などについて成果を得た。これらは、学会誌及び各種のシンポジウム等で発表した。