著者
高橋 泰嗣 佐藤 亮太郎 川畑 洋昭 高橋 浩光 加藤 幹雄 高橋 眞映
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

バナッハ空間の構造を調べるには、空間のもつ様々な性質及びそれら諸性質の相互の関係を詳細に考察することが必要である。本研究では、古典的なノルム不等式及びその一般化を用いて、空間の様々な性質を特徴づけ、諸性質の相互の関係を明らかにした。以下に、得られた結果の概要を示す。1.Clarkson型不等式とバナッハ空間の幾何学:Clarkson不等式(CI)の一般化として、多次元版及び重みつきを考察した。また、これらの不等式を用いて、空間の様々な性質(type-cotype,一様凸性など)を特徴づけた。更に、ランダムClarkson不等式の一般化も考察した。2.Von Neumann-Jordan(NJ-),James(J-)定数とバナッハ空間の幾何学:バナッハ空間のNJ-定数をJ-定数を用いて評価した。また、空間の正規構造係数をNJ-定数で評価した。更に、J-定数の一般化としてJames型定数を導入し、これらの定数との関連で空間の様々な性質を考察した。3.Hlawka型不等式とその拡張:空間のtype-cotypeとの関連でHlawka不等式の一般化を考察した。また、Hlawka不等式の拡張を積分形で与え、その応用としてDjokovic不等式を重みつきで与えた。これらの逆不等式の考察、及び、新たな解釈なども与えた。4.Absolute normについて:空間の幾何学的性質の多くが2次元的であることから、C^2上のabsolute normに着目し、その基本的な性質を対応する凸関数との関連で調査した。また、一般のバナッハ空間の直和にabsolute normを導入し、この空間の一様凸性や狭義の凸性を対応する凸関数との関連で調べた。更に、C^n上のabsolute normについても考察した。その他、種々のノルム不等式の拡張、エルゴード定理の拡張、ウェーブレット解析の応用などについて成果を得た。これらは、学会誌及び各種のシンポジウム等で発表した。
著者
永松 秀樹 筧 龍二 平賀 聖悟 加藤 幹雄
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.996-1002, 1987-06-20

過去3年間に当科で経験した神経因性膀胱70症例につき治療経過を中心に検討を加えた.対象の年齢は13歳から87歳(平均58.4歳),男女比2.2:1で,発症後6ヵ月以上経過していた例が約半数を占めた.神経因性膀胱の分類は,脳膀胱16例,脊髄膀胱25例,末梢神経障害膀胱21例,その他および不明8例であり,原因疾患は骨盤内手術,脳血管障害,脊髄損傷の順に多かった.初診時の泌尿器科的合併症は,尿路感染27例,前立腺肥大症12例,腎機能障害および尿道カルンクルス各3例などで,その他61%に残尿を認めた.膀胱内圧曲線の分類は,弛緩型膀胱48例(69%),正常型7例,無抑制膀胱6例,痙性膀胱5例,いわゆる抑制膀胱と無緊張性膀胱各2例であった.治療法は保存療法単独63例(90%),手術療法併用7例(10%)で,保存療法では薬物療法を69例に施行し,残尿のみられた例では,自己導尿を主体とする間歌的導尿を30例に併用した.手術はTUR-P 5例,膀胱瘻造設2例で,うち1例にLapides' cutaneousvesicostomyを施行した.間歇的導尿例の平均残尿量は治療前205ml,治療後84ml,平均残尿率は治療前56.5%,治療後28.9%で共に有意(p<0.001)の改善を認めた.また,薬物療法と間歇的導尿法でカテーテルフリーとなったものは13例(43%)で,保存療法単独でも残尿の減少と尿路感染の消失に有効であったが,カテーテルフリーを目標とすれば十分な成績とはいえなかった.