著者
櫻井 晃洋 古庄 知己 和田 敬仁 涌井 敬子 玉井 眞理子 川目 裕 福嶋 義光
出版者
日本家族性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.51-56, 2005
被引用文献数
1

信州大学医学部では毎年4 年次生を対象として遺伝カウンセリング・ロールプレイ実習を行っている.グループ毎に提示された症例における医学的問題や家族の悩みを整理し,医学的情報をどのように伝えるべきか,それに対し患者・家族はどう受け止めるかを議論する.その上でシナリオを作成し,学生,教官,学外の遺伝カウンセリング専門家の前で発表して批評を受ける. 実習後の学生の反応としては,担当した疾患についての知識を深められたことと同時に,わかりやすく情報を伝えることの難しさ,情報を伝えられる側の気持ちを思いやることの重要性,医師の発言が患者・家族に与える影響の大きさについて深く考える機会になったとの感想が多くみられた.遺伝カウンセリング・ロールプレイで時間をかけて患者・家族の思いを想起し,これに基づいた対応を考えていくプロセスは遺伝医学実習として役立つのみならず,医師としての基本的な態度レベルの向上においても有意義であると考えられる.