著者
櫻井 晃洋 古庄 知己 和田 敬仁 涌井 敬子 玉井 眞理子 川目 裕 福嶋 義光
出版者
日本家族性腫瘍学会
雑誌
家族性腫瘍 (ISSN:13461052)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.51-56, 2005
被引用文献数
1

信州大学医学部では毎年4 年次生を対象として遺伝カウンセリング・ロールプレイ実習を行っている.グループ毎に提示された症例における医学的問題や家族の悩みを整理し,医学的情報をどのように伝えるべきか,それに対し患者・家族はどう受け止めるかを議論する.その上でシナリオを作成し,学生,教官,学外の遺伝カウンセリング専門家の前で発表して批評を受ける. 実習後の学生の反応としては,担当した疾患についての知識を深められたことと同時に,わかりやすく情報を伝えることの難しさ,情報を伝えられる側の気持ちを思いやることの重要性,医師の発言が患者・家族に与える影響の大きさについて深く考える機会になったとの感想が多くみられた.遺伝カウンセリング・ロールプレイで時間をかけて患者・家族の思いを想起し,これに基づいた対応を考えていくプロセスは遺伝医学実習として役立つのみならず,医師としての基本的な態度レベルの向上においても有意義であると考えられる.
著者
古庄 知己 福嶋 義光 籏持 淳 松本 直通 三宅 紀子 涌井 敬子 森崎 裕子 渡邉 淳
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

エーラスダンロス症候群(Ehlers-Danlos症候群;EDS)は、皮膚・関節の過伸展性、各種組織の脆弱性を特徴とする先天性疾患の総称です。現在、6つの大病型およびその他の病型に分類されていますが、これらの分類には当てはまらない患者さんも少なくありません。本研究では、全国からEDSを含めた遺伝性結合組織疾患疑い患者さんを収集し、詳細な臨床的分析と次世代シーケンスを用いた網羅的遺伝子解析により、新たな病型を探索しました。結果、COL5A2遺伝子変異に基づき、乳児期より顕著な皮膚過伸展性・脆弱性、重篤な後側彎症を発症する重症古典型サブタイプなどを発見することに成功しました。
著者
金児 由美 保谷 卓男 海平 淳青 吉村 長久 福嶋 義光
出版者
医学書院
雑誌
臨床眼科 (ISSN:03705579)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1106-1108, 1997-06-15

(26C2-3) 異常な顔貌,心雑音,股関節脱臼,体重増加不良などで染色体異常が証明された生後3か月の女児が眼科に紹介された。前額部の隆起青後頭部扁平,球状鼻,耳介低位付着,小口症があり,生後1年の時点で,全身に発達遅延と肺動脈弁狭窄,両眼に眼瞼下垂,眼瞼狭小,眼球上転障害,小眼球,小角膜,虹彩低色素,片眼の虹彩角膜癒着などがあった。G染色法による染色体分析で,核型は[46,XX,6q+]であり,6p21を切断点とする6pトリソミーであった。本症としては眼所見が多彩であった。
著者
片井 みゆき 櫻井 晃洋 加茂 登志子 福嶋 義光
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009 (Released:2011-00-00)

女性医師の離職防止・キャリア向上のため、男女医学生と保護者を対象に意識調査を行った。女性医師の仕事と家庭の両立に対し、医学部入学直後の男子医学生の約30%が否定的な意見を述べた。一方、女子医学生のほとんどは肯定的であったが将来への不安感が強く、男女医学生の意識に明らかな性差がみられた。女性医師のキャリア形成に関心を持つ保護者は、女子医学生の母親が最も高率だった。こうした性差をふまえ医学部でのキャリア教育を行う必要があり、ジェンダーバイアスの解消が医学における男女共同参画のためにも望まれる。
著者
森山 正敏 寺島 和光 福嶋 義光 黒木 良和
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.591-593, 1984 (Released:2010-07-23)
参考文献数
11
被引用文献数
2 2

Sotos 症候群患者8名に対して外性器の診察および排泄性腎盂造影, 膀胱尿道造影を施行して尿路性器異常の有無を検討した.性器異常としては停留睾丸・移動性睾丸・尿道下裂などが認められた. 尿路異常としては膀胱尿管逆流が最も多く認められ, 水腎症や萎縮腎なども認められた. 何らかの尿路性器異常は8例中7例 (88%) に認められ, 特に膀胱尿管逆流は8例中6例 (75%) と高率に認められた. 今後は先天奇形症候群においては泌尿器科医による尿路性器の精査を含めた全身的な検索が必要である.
著者
内田 満夫 津田 洋子 塚原 照臣 多田 剛 櫻井 晃洋 福嶋 義光 野見山 哲生
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.181-187, 2012-06-25 (Released:2014-01-09)
参考文献数
20

信州大学医学部3年生を対象に,衛生学公衆衛生学の講義の際にプレテストとポストテストを実施した.本研究は,どちらのテスト結果が期末試験結果と強く関連するか検証することを目的とした.1)2010年の前期に,医学部3年生112名を対象としてプレテストとポストテストをそれぞれ合計7回行い,また前期末に期末試験を実施した.2)プレテスト,ポストテスト,プレ–ポストテストの差分,期末試験の得点の関連を調べた.またプレテストの結果別に学生を4分位に分け,群間のポストテストと期末試験の得点を比較した.3)プレテスト得点は,ポストテスト,期末試験の得点と有意に関連した.また4分位において,第4群(プレ高得点群)は第1群(プレ低得点群)より,ポストテストと期末試験得点が有意に高かった.4)ポストテスト得点は期末試験の得点と有意に相関しなかった.5)以上より,プレテスト得点はポストテスト得点より期末試験結果を予測するための指標として有用であると考えられた.
著者
菅野 純夫 羽田 明 三木 哲郎 徳永 勝士 新川 詔夫 前田 忠計 成富 研二 三輪 史朗 福嶋 義光 林 健志 濱口 秀夫 五條堀 孝 笹月 健彦 矢崎 義雄
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

日本学術振興会未来開拓研究事業(平成16年度終了)、文部科学省特定領域研究「応用ゲノム」(平成16度-平成21年度)と合同で、国際シンポジウム「ゲノム科学による疾患の解明-ゲノム科学の明日の医学へのインパクト」及び市民講座「ゲノム科学と社会」を平成18年1月17日-1月21日に行なった。国際シンポジウムの発表者は未来開拓5人、本特定領域6人、応用ゲノム3人、海外招待講演者9人であった。市民講座は、科学者側6名に対し、国際基督教大学の村上陽一郎氏に一般講演をお願いし、最後にパネルディスカッションを行なった。参加者は延べ550人であった。また、文部科学省特定領域「ゲノム」4領域(統合、医科学、生物学、情報科学、平成16年度終了)合同の一般向け研究成果公開シンポジウム「ゲノムは何をどのように決めているのか?-生命システムの理解へ向けて-」を平成18年1月28,29日に行なった。本シンポジウムの構成は、セッション1:ゲノムから細胞システム(司会:高木利久)講演4題、セッション2:ゲノムから高次機能(司会:菅野純夫)講演6題、セッション3:ゲノムから人間、ヒトへの道(司会:小笠原直毅)講演7題を行い、さらに、小原雄治統合ゲノム代表の司会の下、門脇孝、小笠原直毅、漆原秀子、藤山秋佐夫、高木利久、加藤和人の各班員、各代表をパネリストとしてパネルディスカッションを行なった。参加者は延べ700人であった。また、本領域の最終的な報告書を作製した。