著者
小根森 元 川西 昌弘
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.15-20, 2020 (Released:2020-01-28)
参考文献数
14

2018年12月の日本透析医学会統計調査委員会の報告によると, 新規透析導入患者数は2015年以降増加傾向となったと報告された. 導入患者の増加には, 人口高齢化の影響が大きい. そこで透析原疾患の経年的推移と高齢者 (80歳以上) の導入時原疾患の特徴を明らかにするため, 過去7年間の日本透析医学会の統計調査 (CD-ROM版) のデータを用い, 年齢3区分別に原疾患別導入患者数の検討を行った. その結果, 20歳から80歳未満の原疾患割合と罹病率 (透析導入率) は, 糖尿病性腎症, 慢性糸球体腎炎で減少, 腎硬化症, 不明は増加し, その他は横ばいであった. そして, 導入患者の増加は80歳以上の患者数の増加によるものであった. この患者数の増加は高齢者人口の増加が主因であり, 80歳以上の罹病率を増加させている原疾患も関与していると考えられた. 今後は, 高齢者への対策が, 罹病率 (透析導入率) を減らすためにさらに重要になると思われる.
著者
川西 昌弘 松岡 重信 平岡 政隆 小根森 元 高田 耕基 渡辺 哲彦 大谷 博正 梶山 梧朗
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.28-37, 1988-01-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

今回, 我々は新しいデータ解析の方法論としての exploratory data analysis の基礎的手法である boxplot および robust regression analysis を応用して正常集団におけるアポ蛋白値に及ぼす種々の背景要因の影響について検討し, 以下の結論を得た.1) Apo-AII (40歳代), Apo-B (30歳代), Apo-CII (40歳代), Apo-CIII (30歳代, 40歳代) は男性が女性より有意な高値を示した.2) 男性ではApo-B, Apo-CII, Apo-CIIIに, 女性ではApo-AII, Apo-B, Apo-Eに加齢の影響を認めた.3) 男性においてApo-AI, Apo-AII, Apo-CIIIの値は飲酒者が非飲酒者より高値であった.4) 男性においてApo-CII, Apo-CIIIの値は喫煙者が非喫煙者より高値であった.5) 肥満傾向の者は男性においてはApo-AII, Apo-B, Apo-CII, Apo-CIII, Apo-Eが, 女性においてはApo-AIIが高値であった.このように, 新しい統計的方法論を用いることにより比較的小数のデータでも多数例を用いた解析に劣らない有効な結果を得ることが可能であった.