著者
松岡 重信 山下 理子 沖原 謙
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.155-163, 1994-03-31

先報(1991)では,『生涯スポーツ』概念の形成課程を吟味することと,その概念の実質的イメージについて検討した。そして,それらの作業に基づいて,生涯スポーツ概念と学校体育の機能との関係を問題にした。議論の結果,生涯スポーツや生涯体育の概念が活発に議論されて学校の機能・役割との関係も議論された割合には生涯スポーツの実態もイメージも余り明確でなく,従って両者の関係も曖昧モコとしていることが明らかになった。そして,生涯スポーツ運動に連動する形で,中等教育学校で<習熟度別授業>や<選択制履修授業(以下「選択制」と略す)>を積極的に位置づけようとする働きが,理論的にも実質的にも相当不可解なものと理解された。さらに,こうした実態もイメージも不明確な状況でありながら,それでいて体育の教科内容や教科課程にかかわる問題意識は一般にさほど高くない。少なくとも,日本体育学会や日本教科教育学会でみる限り,こうした学校内外の体育・スポーツの将来構想にかかわる問題意識をもつテーマは,一部シンポジウム等を除けば最近の5年間ほとんど設定されていない事実も認められる。そこで,生涯スポーツに関連させようとする学校体育の趨勢,即ち代表的には選択制の導入等は今日的に,かつ将来的にはいかなる意味をもち,学校教育にどのような影響をおよぼすかについて,改めて予測的に検討したい。その際,スポーツや運動は,<国民的教養>あるいは<国民的権利>とさえ把握されようとしてきた思想や社会的運動そして歴史・伝統に,学校体育が現実にどうかかわっていけるのかという視点を軸としたい。
著者
川西 昌弘 松岡 重信 平岡 政隆 小根森 元 高田 耕基 渡辺 哲彦 大谷 博正 梶山 梧朗
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.28-37, 1988-01-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

今回, 我々は新しいデータ解析の方法論としての exploratory data analysis の基礎的手法である boxplot および robust regression analysis を応用して正常集団におけるアポ蛋白値に及ぼす種々の背景要因の影響について検討し, 以下の結論を得た.1) Apo-AII (40歳代), Apo-B (30歳代), Apo-CII (40歳代), Apo-CIII (30歳代, 40歳代) は男性が女性より有意な高値を示した.2) 男性ではApo-B, Apo-CII, Apo-CIIIに, 女性ではApo-AII, Apo-B, Apo-Eに加齢の影響を認めた.3) 男性においてApo-AI, Apo-AII, Apo-CIIIの値は飲酒者が非飲酒者より高値であった.4) 男性においてApo-CII, Apo-CIIIの値は喫煙者が非喫煙者より高値であった.5) 肥満傾向の者は男性においてはApo-AII, Apo-B, Apo-CII, Apo-CIII, Apo-Eが, 女性においてはApo-AIIが高値であった.このように, 新しい統計的方法論を用いることにより比較的小数のデータでも多数例を用いた解析に劣らない有効な結果を得ることが可能であった.