著者
赤木 盛久 田中 信治 吉原 正治 山中 秀彦 田利 晶 春間 賢 隅井 浩治 岸本 眞也 梶山 梧朗 竹末 芳生 横山 隆
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.787-792, 1993 (Released:2009-06-05)
参考文献数
25
被引用文献数
2 2

比較的高齢で発症した親子の潰瘍性大腸炎を経験したので文献的考察を加え報告する.息子は39歳で発症,全大腸炎型の重症で薬物療法が無効のため全結腸切除を施行した.父は69歳で発症,左側結腸炎型の中等症で薬物療法により軽快した.HLA抗原の検索では本邦の潰瘍性大腸炎患者と相関の認められるhaplotype A24,B52,DR2,DQ6(1)をともに有しており,本症の発症に免疫遺伝的因子が関与していることが示唆された.またこれまでの家族内発症の平均年齢は30歳前後とされていることより,本例は稀な症例と考えられた.
著者
清水 渉 唐川 真二 永田 健二 向井 順子 本藤 達也 渡辺 光政 重本 英司 山形 東吾 土岡 由紀子 松浦 秀夫 梶山 梧朗
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.455-461, 1992

A型顕性WPW症候群に合併したリエントリー性心房頻拍 (AT) で, 頻拍中および頻拍時に行った右房ペーシング中にdouble potential (DP) が記録された症例を経験した, 症例は頻拍発作を主訴とした42歳女性で, 電気生理学的検査により洞調律時とほぼ同じQRS波形の頻拍はAT (CL 490mseG) によるものと診断した.洞調律時の心房マッピングでは, 高位右房側壁 (HRAlat) で心房波の持続時間の延長を認めた.ATはHRAlatからの早期刺激法で誘発, 停止が可能であり, 早期刺激間隔とAT誘発時のエコー間隔との関係は逆相関であった.AT中の心房マツピングでは, 高中位右房側壁の興奮が最早期で, 中位右房側壁にDPを認めた.DPはAT時にHFAlatから行ったペーシング中 (entrainment, CL 470, 450msec) にも記録されたが, 洞調律時および洞調律時の心房ペーシング中には記録されず, 機能性のDPと考えられた.
著者
川西 昌弘 松岡 重信 平岡 政隆 小根森 元 高田 耕基 渡辺 哲彦 大谷 博正 梶山 梧朗
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.28-37, 1988-01-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

今回, 我々は新しいデータ解析の方法論としての exploratory data analysis の基礎的手法である boxplot および robust regression analysis を応用して正常集団におけるアポ蛋白値に及ぼす種々の背景要因の影響について検討し, 以下の結論を得た.1) Apo-AII (40歳代), Apo-B (30歳代), Apo-CII (40歳代), Apo-CIII (30歳代, 40歳代) は男性が女性より有意な高値を示した.2) 男性ではApo-B, Apo-CII, Apo-CIIIに, 女性ではApo-AII, Apo-B, Apo-Eに加齢の影響を認めた.3) 男性においてApo-AI, Apo-AII, Apo-CIIIの値は飲酒者が非飲酒者より高値であった.4) 男性においてApo-CII, Apo-CIIIの値は喫煙者が非喫煙者より高値であった.5) 肥満傾向の者は男性においてはApo-AII, Apo-B, Apo-CII, Apo-CIII, Apo-Eが, 女性においてはApo-AIIが高値であった.このように, 新しい統計的方法論を用いることにより比較的小数のデータでも多数例を用いた解析に劣らない有効な結果を得ることが可能であった.
著者
相原 直樹 田妻 進 大屋 敏秀 初鹿 寿美恵 山下 喜史 堀川 和彦 越智 秀典 寺面 和史 平野 巨通 三浦 弘之 佐々木 雅敏 梶山 梧朗
出版者
日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.9-13, 1994-02-25 (Released:2012-11-13)
参考文献数
12

大柴胡湯によるコレステロール胆石形成に対する影響を, コレステロール胆石形成モデルを用いて検討した. 雄性ゴールデンハムスターを, 普通食投与群 (N群: n=12), グルコース食投与群 (L群:n=14), 1%大柴胡湯添加グルコース食投与群 (L+D群:n=12) の3群にわけ4週間飼育した後, 胆石出現率, 胆汁脂質, 血清脂質および肝組織中の脂質の差を検討した. コレステロール胆石の出現率は, L群において71%と高率であったが, NおよびL+D群においては胆石形成を認めなかった. 胆汁中の胆石形成指数は, N群0.44±0.28, L群0.85±0.19, L+D群0.43±0.24 と大柴胡湯投与により有意に低下していた. 一方, 血清脂質は, コレステロール, 中性脂肪ともにL群においてN群, L+D群に比し有意に上昇したが, N群, L+D群間に有意の差は認めなかった. 肝組織中の脂質はN群に比べL+D群において遊離コンステロールの低下, コレステロールエステルの上昇, L群においては逆の変化を認めた. 以上より, 大柴胡湯は, 腸管でのコレスデロール吸収抑制, 肝でのコレステロール合成抑制および胆汁酸への異化亢進により, 胆汁中コレステロール飽和度を低下させ, 胆石形成に抑制的に作用することが示唆された.
著者
春間 賢 隅井 浩治 森川 章彦 上村 直実 忌部 明 木村 学 徳毛 健治 吉原 正治 豊島 仁 井上 和彦 松原 秀樹 梶山 梧朗 松本 隆允
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.86, no.4, pp.851-857, 1989 (Released:2007-12-26)
参考文献数
30
被引用文献数
5 5

胃底腺性過形成性ポリープ (胃底腺ポリープ) の胃酸分泌, 血清ガストリン値および血清ペプシノーゲン1 (PG1) 値について, 健常者と腺窩上皮性過形成性ポリープ (腺窩上皮ポリープ) の値と比較検討した. 胃酸分泌と血清PG1値は健常者と胃底腺ポリープでは差がなく, 腺窩上皮ポリープでは著しい低値を示した. 一方, 血清ガストリン値は, 健常者と比較すると, 胃底腺ポリープではやや低値を, 腺窩上皮ポリープでは著しい高値を示した. さらに, 組織学的な検討とあわせ, 胃底腺ポリープは過形成性ポリープの一つに分類されるが, 胃底腺に高度の萎縮をともなう腺窩上皮ポリープとは異なり, 萎縮のない胃底腺粘膜に発生していることを明らかとした.