著者
朴 ソラ 増田 知尋 村越 琢磨 川﨑 弥生 内海 建 木村 敦 小山 慎一 日比野 治雄 日野 明寛 和田 有史
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.100-110, 2014 (Released:2015-01-13)
参考文献数
15

目的:残留農薬に関する知識が十分でない消費者に,適切な残留農薬量の理解を促すためのイラスト表記を開発し,その理解度を検討することを目的とした.方法:大学生および大学院生80人を対象に横断研究を行った.文章のみ,累積正規分布関数のグラフと文章,農薬量を一次元で示したイラストと文章の3種類の説明表記のうちどれか1種類を添付した質問紙を配布した.回答は,無毒性量,一日摂取許容量,残留農薬基準の3段階の残留農薬条件以下の農薬が残留している架空の農産物について,安全性に関わる3つの質問項目にビジュアルアナログスケールを用いて評定させた.安全性評価の相対的な大きさが残留農薬量の順序と一致した場合を正答として条件ごとに正答率を算出し,χ2 検定を行った.結果:すべての質問項目で正答率に有意な偏りがみられた(p<0.05).残差分析の結果,「文章+イラスト」条件では正答率が期待値よりも一貫して高かった(59.3~70.4%).一方で,「文章のみ」では正答率は期待値との差はなかった(41.4~55.2%).また,「文章+グラフ」では,どの程度安全であると感じるか,自分が食べようと思うかの質問で期待値よりも正答率が低かった(16.7~33.3%).結論:グラフは残留農薬量の適切な理解を促進しないが,一次元で表したイラストは促進することが示唆された.
著者
豊田 弘司 川﨑 弥生
出版者
奈良教育大学次世代教員養成センター
雑誌
次世代教員養成センター研究紀要 = Bulletin of Teacher Education Center for the Future Generation (ISSN:21893039)
巻号頁・発行日
no.3, pp.23-30, 2017-03

研究Ⅰでは、豊田(2016)と同じく、大学生を対象にして、努力して成功した場合、努力せず成功した場合、努力したが失敗した場合、及び努力せず失敗した場合を設定した。そしてその際に、感情、原因帰属、及び次への意欲を評定させた。その結果、努力帰属評定値と意欲度評定値との間に正の相関関係が認められた。これにより、努力帰属が動機づけを導くことが示唆された。また、努力と結果が随伴している場面で努力帰属が高まり、随伴していない場面で他の帰属傾向の高まることが明らかにされた。研究Ⅱでは、参加者の個人差要因として、随伴経験量と努力帰属との関係を検討した。その結果、随伴経験量と努力帰属評定値の間に正の相関は認められなかった。しかし、豊田(2016)と同様に、随伴経験量と意欲度評定値の間に正の相関が認められた。研究ⅠとⅡを通して性差が認められたので、原因帰属の指導において性差を考慮することの必要性が議論された。