著者
工藤 敏之
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.173, 2019 (Released:2019-02-01)
参考文献数
4

ボノプラザンは新しい作用機序を持つプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor: PPI)であり,我が国においてのみ販売されている.PPIであるエソメプラゾールは,CYP2C19の活性を阻害することが知られており,CYP2C19基質であるジアゼパムなどが併用注意とされているが,ボノプラザンの添付文書にはCYP基質との相互作用の記載はない.チエノピリジン系抗血小板薬であるクロピドグレルおよびプラスグレルは,消化管出血のリスクを増大させることが知られているため,その予防のためにPPIを併用することが推奨されている.一方で,クロピドグレルはCYP2C19およびCYP3A4に,またプラスグレルは主にCYP3A4によって活性体に変換されるプロドラッグであることから,併用薬による代謝阻害に基づく抗血小板作用の減弱が懸念される.本稿では,クロピドグレルおよびプラスグレルの薬効に及ぼすエソメプラゾールおよびボノプラザンの影響について臨床薬物相互作用試験により検討した例を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Abraham N. S. et al., Am. J. Gastroenterol., 105, 2533-2549(2010).2) Kagami T. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 103, 906-913(2018).3) Nishihara M. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 104, 31-32(2018).4) Kagami T. et al., Clin. Pharmacol. Ther., 104, 33-34(2018).
著者
伊藤 清美 工藤 敏之
出版者
武蔵野大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

複数の酵素で代謝される薬物では、併用薬による酵素阻害の影響を定量的に評価するために、代謝における各酵素の寄与率を正確に見積もることが重要である。レパグリニドの代謝におけるCYP2C8およびCYP3A4の寄与率について推定した結果から、in vitro代謝試験において緩衝液条件に留意することの重要性が確認された。また、クラリスロマイシンとグリベンクラミドの相互作用について生理学的薬物速度論(PBPK)モデル解析を実施し、肝取り込み阻害と肝代謝阻害の両者の関与を明らかにした。本研究と同様なPBPK解析の実施により、効率的な医薬品開発および複数薬物の併用による安全な薬物治療に資することが期待される。