著者
市川 哲彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.62, pp.201-208, 1994-07-20
被引用文献数
2

純枠な関数型プログラミング言語Haskell向けに,monadを用いた実行順序制御と多重定義関数を基本操作とするデータベース操作インターフェースを設計・実装した.データベース操作はすべてmonadによって制御されているので,参照透過である.また,基本操作をPersistent classに関連付けられた多重定義関数として定義することにより,実装の詳細を隠蔽するデータ独立性を実現し,多様関数と静的型付けの利用とを可能にしている.In this report, we describe the implementation of a simple database manipulation scheme for non-strict purely functional programming language Haskell. Evaluation of database actions is controlled in a monadic way. Hence, all database manipulations are referentially transparent. The primitive operations are defined as overloaded functions associated with a newly introduced class Persistent. The class hides all the implementation details to achieve data independence, and utilizes polymorphic functions and static type checking, which are the major features of the language.
著者
曾我 有紀子 中島 久美 川田 亜矢子 市川 哲彦 佐藤 浩史 藤代 一成
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第48回, no.データ処理, pp.363-364, 1994-03-07

我々の身近に観測される逃げ水現象は、蜃気楼の一種で、温度勾配の激しい空気によって光が屈折し起こる現象である。従来のレイトレーシングは真空が前提であるが、M.Bergerらは、空気の層を、屈折率の違う何枚もの薄いガラスの層を重ね、ゆらぎやノイズを付加することで疑似的に表現し、蜃気楼らしい景観を創成することに成功している。しかし、彼らの方法では空気中の屈折率を固定しているので、より現実的な蜃気楼や陽炎を表現するためには、人為的な視覚効果を加えなければならない。そこで本研究では、空間をボクセルに分割し、空間各点での光の挙動を集積できるボリュームレイトレーシングを用い、与えるボリュームデータを時間依存させることによって、物理的原理に合致した逃げ水の表現と陽炎の生成を同時に試みる。本稿は以下のように構成されている。次節でまず逃げ水現象の物理的原理を述べた後、3節ではボリュームレイトレーシングを用いる理由、4節では具体的な画像生成の手続きを示す。最後に、結果の画像を考察し、今後の展望を述べて本稿を閉じることにする。
著者
曾我 有紀子 中島 久美 川田 亜矢子 市川 哲彦 佐藤 浩史 藤代 一成
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.363-364, 1994-03-07

我々の身近に観測される逃げ水現象は、蜃気楼の一種で、温度勾配の激しい空気によって光が屈折し起こる現象である。従来のレイトレーシングは真空が前提であるが、M.Bergerらは、空気の層を、屈折率の違う何枚もの薄いガラスの層を重ね、ゆらぎやノイズを付加することで疑似的に表現し、蜃気楼らしい景観を創成することに成功している。しかし、彼らの方法では空気中の屈折率を固定しているので、より現実的な蜃気楼や陽炎を表現するためには、人為的な視覚効果を加えなければならない。そこで本研究では、空間をボクセルに分割し、空間各点での光の挙動を集積できるボリュームレイトレーシングを用い、与えるボリュームデータを時間依存させることによって、物理的原理に合致した逃げ水の表現と陽炎の生成を同時に試みる。本稿は以下のように構成されている。次節でまず逃げ水現象の物理的原理を述べた後、3節ではボリュームレイトレーシングを用いる理由、4節では具体的な画像生成の手続きを示す。最後に、結果の画像を考察し、今後の展望を述べて本稿を閉じることにする。
著者
井上 千鶴 原島 省 渡辺 正孝 池辺 八州彦 市川 哲彦 佐藤 浩史 藤代 一成
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.365-366, 1994-03-07

鞭毛藻などの数種の水生微生物の培養液の表面に、微生物を多く含む部分が筋状に垂れ下がることが知られている。Plattは、これをBenard型対流との相似性から生物対流と名付けた。この対流現象は、微生物の反重走性によって培養液に密度不安定が生じ、それが原因となって起こると考えられるため、生物系と非生物系との間の相互作用を扱っている点で非常にユニークである。80年代に著者の一部により、流体力学的アプローチによる生物対流の鉛直2次元数値シミュレーションが行なわれた。本研究の目的は、同様のアプローチに基づいた数値シミュレーションを3次元化し、さらに効果的な可視化によって現象を解析することにある。現在、この問題をとり上げる理由は大きく二点ある。一点は、この現象の同アプローチによる解析が2次元までしか行なわれていなかったこと、もう一点は、この現象がボリュームレイキャスティングと呼ばれるボリュームビジュアライゼーション手法によって効果的な可視化が可能となる典型的な例であることである。本稿では生物対流現象を概説したあと、可視化手法を紹介しその結果を考察する。そして最後にまとめと今後の展望を述べる。
著者
喜多村 晶子 竹島 由里子 市川 哲彦 藤代 一成 佐藤 浩史
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.261-262, 1994-03-07

本研究は、純粋な関数型算譜言語(pure FP)とデータベース(DB)の操作体系との統合を目的としている。関数型データベース算譜言語(DBPL)の研究・開発が行われる一方で、pure FPは種々の参照透過な入出力機構を備えてきた。従って、Nikhilに指摘されたような、順次実行制御機構の欠落に起因する更新操作記述の困難さは解消可能である。関数型のDBPLではDBは記号束縛の環境で与えられ、更新は記号束縛の変更/生成、または記億域に束 縛された変数への代入により行われる。一方、pure FPでは実行時にトップレベルの束縛環境変更はできないため、なんらかの形で変数操作に対応する操作体系を持ち込む必要がある。本研究では、関数型算譜言語Haskell上に、モナド(Monad)による順次実行制御と、多重定義関数によるDB操作体系の導入を行った。多重定義はクラス(class)機構によって制御されているが、言語仕様の若干の変更が必要であったため、Glasgow Haskell Compilerに手を加える形で、これを実現した。簡単な操作例を図に示す。これは"university" DB中の学生データを更新する例であり、findStudentは名前で学生データを検索するためのユーザ定義関数である。以下、想定したデータモデルの簡単な説明に続いて、モナドの利用とDB操作体系の実現について順に説明をし、最後にまとめを行う。
著者
市川 哲彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.175, pp.45-50, 1996-07-24
参考文献数
6

非正格な関数型プログラミング言語Haskellを対象としたデータベース操作インターフェースの永続性モデルについて報告する。先行研究[3]では、状態遷移による参照透過なデータベース操作、クラス機構による永続性と例外処理の指定、内部版管理によるon-the-flyデータベースアクセス、といった特徴を有しているが、永続性モデルとしては型外延モデルを用いていたため、モデリング能力やプログラミングの面での柔軟性に欠けていた。そこで、本研究では、より柔軟な永続性モデルである到達可能性モデルの先に提案した手法への適用を試みた。提案手法では、永続変数は用いず、型によって永続ルートの識別をしており、これにより静的な型づけと参照透過性の維持を可能にしている。また、型クラスの機能を用いることにより、型外延モデルと同様の永続性管理が行なえると同時に、ビューに相当する永続ルートの利用も可能である。