著者
平口 雪子 高 祥恵 海老島 優子 大和 謙二 末廣 豊
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.732-739, 2012 (Released:2013-02-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

目的:インフルエンザワクチンは微量の鶏卵蛋白を含有し,鶏卵アレルギーがあると接種要注意者とされる.明確な接種可否の判断基準がないため,施設間や接種医により判断にばらつきがあり患者にも混乱を与えている.そこで鶏卵アレルギーのある児へのインフルエンザワクチン接種の現状を知るためにアンケート調査を行った. 方法:鶏卵アレルギーが現在あるまたは過去にあった児の保護者に対しアンケート調査を行い112名から回答を得た. 結果:鶏卵アレルギーを理由にインフルエンザワクチンの接種を受けられなかったことがある児が52.7%いた.1歳未満の群では保護者の判断で接種を見合わせたケースが多くある一方,1歳以上の群では除去の程度や誘発症状の程度に関わらず接種医から「アレルギーが専門ではない」などの理由で接種を断られたという回答が最も多かった. 結論:鶏卵アレルギーのある児が積極的に接種を受けられるためには,日本においてもエビデンスとなる安全性の検討と学会などからの接種判断基準の明示が必要であると考えられる.
著者
平口 雪子
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.70-74, 2023-03-20 (Released:2023-03-20)
参考文献数
20

甲殻類とは節足動物門に属する甲殻亜門(Crustacea)の一群で,エビ・カニ・シャコなどが含まれる.2022年即時型食物アレルギー全国モニタリング調査では全年齢における食物アレルギーの原因食品として8位,初発例の原因食品として7~17歳で1位,18歳以上で2位と,甲殻類アレルギーの多くは学童期以降で発症する.即時型症状が多く,食物依存性運動誘発アナフィラキシーの原因食品としても頻度が高い.予後についての報告はほぼないが,耐性獲得は少ないと考えられている.甲殻亜門の主要アレルゲンはトロポミオシンとされるが,他にアルギニンキナーゼ,ミオシン軽鎖,筋形質カルシウム結合タンパクなどが報告されている.これらのコンポーネントは節足動物門でアミノ酸配列の相同性が高く,交差抗原性は甲殻亜門内だけでなく,節足動物門の鋏角亜門・六脚亜門と甲殻亜門間でも確認されている.粗抽出抗原特異的IgE抗体検査は感度,特異度共に不十分で,コンポーネント特異的IgE抗体検査の有用性が検討されているが地域差など課題も多い.
著者
新垣 智也 末廣 豊 平口 雪子 玄 茉梨 吉野 翔子 熊谷 雄介 海老島 優子 大和 謙二 尾辻 健太 近藤 康人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.1240-1243, 2017

<p>症例は10歳女児で既往に鶏卵アレルギーがあった.4歳時,鍋料理のエノキタケを摂取後に口腔内の痒みを訴え,以降はエノキタケを摂取していなかった.10歳時に学校給食でエノキタケの入ったすまし汁の汁のみを飲んだところ,口腔内の違和感と痒みが出現し20分間程度持続した.精査のために当科で実施したprick to prick testではエノキタケの生,加熱,茹で汁がいずれも陽性であった.</p><p>患者血清を用いてアレルゲンの同定を試みた.western blottingを行ったところ,75kDaで特異的な反応がみられ,本症例のアレルゲンと考えられた.</p><p>過去に報告のあったエノキタケアレルギーとは症状の程度,他のキノコ類への感作,抗原のタンパク質分子量などで違いがあり,新規のアレルゲンが関与しているものと推定された.</p>