- 著者
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平尾 素一
環境生物コンサルティング・ラボ:NTG研究会
- 雑誌
- ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.24-26, 1990-11-01
現在のゴキブリ駆除は病原菌の媒介を阻止するためというより,ゴキブリの姿を見て「嫌だ」「気持がわるい」という,いわゆる不快感という観点から駆除対象とされることが多い.この場合,一軒の住宅で,どれくらい姿を見ると人々は「駆除」というアクションをおこすのか,いわば許容水準(Tolerance level)はどれくらいかについて知る必要がある.そのためには人々のゴキブリに対する意識について数多くの調査を行なう必要がある.アメリカバージニア工科大学の昆虫学教室のグループが,1979年夏にメリーランド州Baltimore(265世帯),バージニア州Norfolk(240世帯),Roanoke(143世帯)の計648軒のアパート住人に対して,ゴキブリに対する態度(Attitude)と知識(Knowledge)について調査している.害虫管理の基本的な出発点は,住人の対象害虫に対する意識と知識を理解することであるという認識にもとづくものである.同大学グループはまた,1985年夏に中国浙江省杭州のアパート105世帯を対象に同じような調査を行なっている.これらの調査に用いられたとほぼ同じ手法で日本全国513世帯について調査を行ない,日米の比較を試みた.