著者
渡辺 護
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.17-23, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
15
被引用文献数
5

富山県の立山山麓で1995年からクサギカメムシとスコットカメムシの越冬飛来の観察してきた.今回,クサギカメムシおよびスコットカメムシ飛来数と降雪量の関係,クサギカメムシ飛来数とスギ花粉飛散量との関係,さらに両種の飛来数に影響を及ぼす気象要素との関係について検討を行った. クサギカメムシの飛来数と降雪量には関係はみられなかったが,スコットカメムシでは飛来数が多いと降雪量が多くなることが示唆された.また,クサギカメムシの飛来数を春のスギ花粉飛散量で予測することは出来なかった. クサギカメムシの飛来数が多い年は交尾産卵期(5月上旬〜6月下旬)と幼虫発育期(5月下旬〜8月上旬)の最高気温が高い傾向が示された.スコットカメムシの飛来数が多い年は羽化期(8月下旬〜9月中旬)の降水量が少ない傾向,飛来期(10月下旬〜11月中旬)の風速が弱い傾向が示された.
著者
山内 健生 小原 真弓 渡辺 護 安藤 秀二 石倉 康宏 品川 保弘 長谷川 澄代 中村 一哉 岩井 雅恵 倉田 毅 滝澤 剛則
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.23-31, 2009
被引用文献数
1

1991-2007年に富山県においてフランネルによるマダニ採集を行い,3,562個体のマダニ類を採集した.これらのマダニ類は次の2属9種に分類された:キチマダニHaemaphysalis flava,ヤマトチマダニH.japonica,ヒゲナガチマダニH.kitaokai,フタトゲチマダニH.longicornis,オオトゲチマダニH.megaspinosa,ヒトツトゲマダニIxodes monospinosus,タネガタマダニI.nipponensis,ヤマトマダニI.ovatus,シュルツェマダニI.persulcatus.ヤマトマダニは標高401m以上の地域における最優占種で,それより低い標高域においても少なからぬ密度で分布することが示された.キチマダニは標高400m以下の地域における最優占種であった.ヒゲナガチマダニ,オオトゲチマダニ,およびヒトツトゲマダニを富山県から初めて記録した.ヒトツトゲマダニからRickettsia helveticaの近縁リケッチアが検出され,富山県における紅斑熱患者発生の可能性が示された.
著者
渡辺 護 渡辺 はるな 米島 万有子 沢辺 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.25-32, 2019

<p>We investigated the occurrence of mosquitoes in both disaster areas of the 2011 Great East Japan earthquake and tsunami and the 2016 Kumamoto earthquake in the summers after the disasters respectively. In the former area, <i>Culex pipiens</i> group was the most common taxa in adult stage (157.01 individuals per trap per day; 82.55%). In larval stage, <i>Cx. pipiens</i> gr., <i>Cx. tritaeniorhynchus</i> and <i>Anopheles sinensis</i> were collected. While in the latter area, <i>Aedes albopictus</i> (19.29; 62.21%), <i>Cx. pipiens</i> gr. (5.23; 16.87%) and <i>Armigeres subalbatus</i> (4.34; 14.0%) were common in adult catch. The larvae of the three species were also commonly collected in the larval sampling. We compared the mosquito's occurrence between the two areas to find that abundance and species composition were completely different. In the 2011 Japan earthquake and tsunami area, a great number of comparatively large sized water bodies were made by the tsunami, and they became good habitats for <i>Cx. pipiens</i> gr. In contrast in the Kumamoto earthquake area, there were collapsed houses and a large number of small artificial containers left there as well as the tarpaulins used to cover damaged property, all of which served as good breeding sites for <i>Ae. albopictus</i>.</p>
著者
渡辺 護
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.47, 2006

中部山岳国立公園に隣接する岐阜県飛騨市の山之村地域で2003年からアブの捕獲調査を行っている。昨年は富山県側の飛越高原も含めて2003-4年の成績を報告したが、今回は岐阜県側で2005年に新たに加えた調査地点の成績を含め、いままでの成績をまとめて報告する。<BR>岐阜県飛騨市山之村地域は標高850-1200mの山地農村地域で、ホウレンソウと牛(飛騨牛)の生産が盛んで、稲作も行われている。また、山間盆地のため地域内には小渓流が多数あり、その源流地域には湿地帯が発達し、水芭蕉などが繁茂している。ニホンカモシカが多く、ツキノワグマとイノシシも生息する。<BR>調査は固定設置型の飛翔捕捉マレイズトラップとボックストラップおよび調査の都度設置する二酸化炭素誘引(ドライアイス使用)のキャノピィトラップと蚊帳トラップを併用して行った。2005年には2004年に開設された乗馬クラブの厩舎への侵入アブの調査も加え、4月下旬から10月上旬まで7-8月はほぼ毎週、他の月は隔週の土曜もしくは日曜日に、捕獲調査(キャノピィと蚊帳トラップ)および誘引アブの回収(マレイズとボックストラップ)を行った。<BR>全般的に吸血性のニッポンシロフアブが多数を占めたが、無吸血性のイヨシロオビアブが近似種の吸血性アオコアブと混生し、多数捕獲される地点もみられた。さらに、吸血性大型種のアカウシアブ、ニセアカウシアブ、アカアブ、カトウアカアブ、ウシアブが多数捕獲された。2005年に調査を開始した厩舎侵入アブもニッポンシロフアブが64%(4,633/7,252)を占めたが、アカウシアブ12%など、大型アブも14.5%を占めた。これらの種構成は隣接する富山での今までの成績とは大きく異なり、その原因の多くは吸血源動物が長期間確保されていたためと考えられ、加えて幼虫の生息に適した様々な環境の存在が示唆される。
著者
渡辺 護 荒川 良 上村 清
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.51-58, 1990-03-15 (Released:2016-08-26)
被引用文献数
8 4

In an attempt to predict the epidemic incidence of Japanese encephalitis in human population, a long-term surveillance on Culex tritaeniorhynchus, the vector of Japanese encephalitis virus, has been carried out at several observation stations in Toyama Prefecture since 1969. The numbers of the mosquito captured by the light trap had been decreasing since 1965 until 1977,and then began to reverse from 1978. This increasing trend appeared clear in 1982,although some decreases in the numbers were observed in 1984,1986 and 1988 in comparison with the previous years. The major cause of increase in the numbers of the mosquito may be attributed to the acquisition of insecticide resistance. Aerospray of agricultural pesticides or fungicides may not inhibit the appearance of the mosquito. In fact, the resistant/sensitive ratios for fenthion, fenitrothion and malathion of a resistant strain of C. tritaeniorhynchus, established in Toyama Prefecture, were 6,557,5,272 and 2,454,respectively. In an exposure experiment with the pesticide aerospray over a paddy field lethalities ranging from 7.6 to 71.6% were observed with the resistant strain of C. tritaeniorhynchus; these percentages could not be compared with the complete death of a sensitive strain.
著者
山内 健生 渡辺 護 林 成多
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.24-30, 2013-01-05 (Released:2018-09-21)

島根県産アブ類について,野外調査と標本調査を実施し,20種を記録した.島根県におけるジャーシーアブの記録は,誤同定に基づいている可能性が非常に高いため,島根県のアブ科の種リストから本種を削除することを提案した.タイワンシロフアブ,マツザワアブ,アカバゴマフアブ,トヤマゴマフアブは島根県本土新記録となる.アカウシアブ,シロフアブ,ハタケヤマアブは隠岐諸島新記録となる.既知の記録と新記録を合計すると,28同定種が島根県に分布していることが明らかとなった.
著者
米島 万有子 中谷 友樹 渡辺 護 二瓶 直子 津田 良夫 小林 睦生
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.138-158, 2015-03-01 (Released:2019-10-05)
参考文献数
60

本研究では,琵琶湖東沿岸地域を対象に,国内の代表的な2種類の疾病媒介蚊(成虫)の捕集調査を実施した.そこで観測された捕集個体数の空間的変動を,偏相関最小二乗法(PLS)回帰分析に基づき調査定点周辺の土地被覆の構成(種目別面積比)と関連づけて検討した.また,得られたPLS回帰モデルを利用して,当該媒介蚊の生息分布を面的に推定した.その結果,コガタアカイエカの捕集個体数は,主に水田によって土地被覆が構成されるような農村景観の卓越する地域で多く,平野部に好適な生息場所が多く認められた.シナハマダラカ群の捕集個体数は,水域とそれに付随するヨシなどの植生から構成されるような湿地景観の卓越する地域で多く,水域周辺に好適な生息場所が存在することが判明した.こうした媒介蚊の捕集データから推定した生息分布域は,媒介蚊による吸血被害を生むリスクの分布を示すものであり,蚊媒介性感染症の流行対策に有用な地理情報と考えられる.
著者
山内 健生 渡辺 護
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.13-16, 2013-05-25 (Released:2019-04-10)
参考文献数
16

富山県の山地(標高330m, 664m, および1,120m)にて,Townes型マレーズトラップを2009年7月から9月まで連続して設置し,スズメバチ類の捕獲を行なった.その結果,2亜科16種を捕獲した.捕獲個体数がもっとも多かったのはシダクロスズメバチで,全個体数の59.1%を占めた.ツヤクロスズメバチがこれに次いだ(15.7%).3地点とも最優占種はシダクロスズメバチであったが,種構成は標高によって異なっていた.アシナガバチ亜科に関しては,標高の高い地点ほど捕獲種数と個体数が少なく,標高1,120 m地点ではまったく採集されなかった.一方,スズメバチ亜科では標高が高い地点ほど捕獲種数と個体数が多かった.
著者
山内 健生 渡辺 護 沢邉 京子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.101-104, 2020-06-25 (Released:2020-06-25)
参考文献数
12

From 2013 to 2014, ixodid ticks (Acari: Ixodidae) were collected by flagging at seven sites of two areas, Noto and Kaga, in Ishikawa Prefecture, Honshu, Japan. As a result of the survey, the following four ixodid species were collected: Haemaphysalis flava, Haemaphysalis longicornis, Ixodes ovatus, and Ixodes turdus. This is the first record of I. turdus from Ishikawa Prefecture. Haemaphysalis flava was the dominant species in Noto area. On the other hand, Haemaphysalis longicornis was predominant in Kaga area.
著者
渡辺 護 荒川 良 山口 勝幸
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.275-277, 1990-09-15 (Released:2016-08-26)

The distribution of larvae of Hirosia iyoensis was surveyed at the forest floor along a small branch of the Oyabe River of Toyama Prefecture. A total of 129H. iyoensis larvae was collected from leaf litter and soil at six different stations within 200m of the blood-sucking sites (a wide space opened at the main course of the Oyabe River) for H. iyoensis. Most of the larvae were collected within an 80m area of the blood-sucking sites. A total of 102 larvae was also collected at four stations with different altitudes (5,25,50 and 75m above the surface of the stream). The number of larvae collected tend to decrease in accordance with the elevation. This survey suggested that the breeding-places of larvae of H. iyoensis were the forest floor near the bloodsucking site of adults.
著者
渡辺 護 品川 保弘
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.14-20, 1997-09-25
参考文献数
5
被引用文献数
3

Since 1995, we have conducted the research for the control of Ororo-tabanidfly, Hirosia iyoensis at some mountainous areas in Toyama Prefecture, central part of Japan, where a great number of Ororo-tabanidflies occur every year. The effect of traps baited with CO_2 gas to H. iyoensis was studied. These canopy traps were effective in mass-capturing Ororo- tabanidflies. The performance of pyrethroid insecticides and a repellent were also investigated. Pyrethrum extract, pyrethrin and prallethrin showed fast knock down effects against Ororo-tabanidflies. And, also deet had a repellent action.
著者
米島 万有子 渡辺 護 二瓶 直子 津田 良夫 中谷 友樹 小林 睦生
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
巻号頁・発行日
vol.63, pp.51, 2011

国内最後のマラリア浸淫地として知られた滋賀県琵琶湖東岸地域において,現在の蚊の発生状況を把握するために,2008年からCDC型トラップを用いて蚊の捕獲調査を行っている.2010年は,琵琶湖に注ぐ犬上川流域を縦断的に,また内湖である西の湖周辺を対象として,地点間による蚊相と捕獲数の差異を明らかにするために調査を行った.方法は,ドライアイス1kgを誘引剤としたCDC型トラップを用いて,6月18日から10月2日まで,3週間毎に2日間連続で行った.調査地点は,犬上川の上流から下流にかけて12地点,西の湖沿岸およびそれに注ぐ蛇砂川流域に10地点を設定した.その結果,シナハマダラカ,コガタアカイエカ,アカイエカ,カラツイエカ,ヒトスジシマカ,ヤマトヤブカ,オオクロヤブカ,ハマダライエカ,フトシマツノフサカの10種類が捕獲された.犬上川流域では,全捕獲数21,233個体のうち約92%がコガタアカイエカ(19,585個体)で,次いでアカイエカが約7%(1457個体),シナハマダラカが0.2%(57個体)であった.トラップの設置地点間を比較すると,犬上川上流および下流ではコガタアカイエカの捕獲数が多いのに対し,中流部では少なかった.また,上流部ではアカイエカの割合が低かった.一方,西の湖周辺では総計40,347個体のうち、約97%がコガタアカイエカ(38,998個体),アカイエカが約2%(608個体)そしてシナハマダラカが約1%(462個体)捕獲された.地点間の比較では,コガタアカイエカは特に西の湖沿岸に多く,シナハマダラカは蛇砂川流域で多いことがわかった.このように地点間比較から,捕獲数および蚊相にはトラップ設置場所によって差異が認められる.この差異について,環境省生物多様性情報システムの第5回植生調査データを資料とし,GIS(地理情報システム)を用いて,トラップ周囲の植生構成比との関係から検討した.また,2009年度の調査データを基に作成した吸血飛来のポテンシャルマップと2010年度の蚊の調査結果がどの程度一致したのかを検証した.
著者
渡辺 護 荒川 良 品川 保弘 岡沢 孝雄
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.311-317, 1994-12-15 (Released:2016-08-23)
被引用文献数
8 18

From 1988 to 1993,we studied anti-invading methods against the brown marmorated stink bug, Halyomorpha mista, in houses at several locations in Toyama Prefecture, Japan, where a great number of the bugs in overwintering flight has been observed every year. The "slit-trap" was proved to be effective as an attractant for the bugs. When several traps were set around a building, the number of invading bugs into the building apparently decreased. The application of concentrated cyphenothrin and the laying of a cyphenothrin-treated polyethylene sheet to window-frames were also effective to prevent the invasion of the bugs. These preventive measures were almost 100% effective in reinforced concrete buildings such as modern hotels, whereas the number of invading bugs to wooden houses only slightly decreased. Covering wooden houses with cyphenothrin-treated nets was effective to prevent the invasion of the bugs. The application of repellent (Deet) to window-frames was also effective.
著者
渡辺 護
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.21-32, 1974-03
著者
渡辺 護
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.30-40, 1974-06