著者
吉田 清香 皆巳 幸也 上田 哲行
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.13-17, 2004 (Released:2005-12-16)
参考文献数
16

Marsh water was chemically analyzed in four habitats of Nannophya pygmaea Rambur in Ishikawa Prefecture, Japan. Somewhat acidic water (pH 5.7-6.4) was observed in one marsh, while the others often showed a higher value of pH (6.0-10.4). This result implies that suitable pH range for a habitat of the species is fairly wide including such a higher category, rather than recognized so far. Enrichment of mineral constituents such as Ca2+ compared to rainwater suggested that the marsh water was mainly supplied with ground water.
著者
広渡 俊哉
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.177-187, 2007-12-28

鱗翅目昆虫の中では,チョウ類が環境指標として有用であることが多くの研究者によって指摘され,トランセクト法による調査が行われてきた(田中,1988 ; Kudrna,1986 ; 石井ら,1991など).著者は,国内におけるチョウ類のトランセクト調査の他に,インドネシアで森林火災後のチョウ相の変化についてマレーズトラップを用いた調査(槇原寛氏:森林総合研究所,スギアルト氏:ムラワルマン大学との共同研究)を行うとともに,国内において,小蛾類(コバネガ科などの原始的なグループからメイガ上科までの一群)を含めたガ類を対象とし,灯火採集法による調査を行い,ガ類の環境指標としての有用性について検討を行ってきた(大阪府立大学の大学院生などとの共同研究).以下は公表済みの2論文(Hirowatari et al.,2007 ;広渡他,2007)を中心にその概要を紹介し,最後に鱗翅目昆虫を環境指標として用いる場合の調査方法の長短について検討した.
著者
河瀬 直幹 夏原 由博
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.123-131, 2007-09-07
被引用文献数
1

大阪府堺市周辺の約80km^2において,アオヤンマの生息状況について調査した.空中写真を利用し,生息場所となるヨシ等の高茎抽水植物帯がある池沼を把握した後,野外調査による成虫の確認調査を実施した.その結果,19ヵ所の潜在生息場所が把握され,そのうち10ヵ所で成虫を確認したが,繁殖場所と推定できる場所は3ヵ所に限定された.また,3ヵ所の繁殖場所ではヨシ群落が最優占し,ヨシ以外の抽水植物群落も存在した.さらに,3ヵ所の繁殖場所から7ヵ所の確認場所に移動したと考えると,成虫は平均2,260±841mを移動すると推察できた.ただし,有効分散は3ヵ所の繁殖場所問の移動に限られるため,調査範囲内のアオヤンマの個体群ネットワークは非常に厳しい状況にあると思われた.アオヤンマを地域的に保全するには,繁殖場所問の距離が2,260±841mの範囲内でネットワークされた保全計画が重要と考えられた.