著者
広渡 俊哉
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.177-187, 2007-12-28

鱗翅目昆虫の中では,チョウ類が環境指標として有用であることが多くの研究者によって指摘され,トランセクト法による調査が行われてきた(田中,1988 ; Kudrna,1986 ; 石井ら,1991など).著者は,国内におけるチョウ類のトランセクト調査の他に,インドネシアで森林火災後のチョウ相の変化についてマレーズトラップを用いた調査(槇原寛氏:森林総合研究所,スギアルト氏:ムラワルマン大学との共同研究)を行うとともに,国内において,小蛾類(コバネガ科などの原始的なグループからメイガ上科までの一群)を含めたガ類を対象とし,灯火採集法による調査を行い,ガ類の環境指標としての有用性について検討を行ってきた(大阪府立大学の大学院生などとの共同研究).以下は公表済みの2論文(Hirowatari et al.,2007 ;広渡他,2007)を中心にその概要を紹介し,最後に鱗翅目昆虫を環境指標として用いる場合の調査方法の長短について検討した.
著者
河瀬 直幹 夏原 由博
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.123-131, 2007-09-07
被引用文献数
1 or 0

大阪府堺市周辺の約80km^2において,アオヤンマの生息状況について調査した.空中写真を利用し,生息場所となるヨシ等の高茎抽水植物帯がある池沼を把握した後,野外調査による成虫の確認調査を実施した.その結果,19ヵ所の潜在生息場所が把握され,そのうち10ヵ所で成虫を確認したが,繁殖場所と推定できる場所は3ヵ所に限定された.また,3ヵ所の繁殖場所ではヨシ群落が最優占し,ヨシ以外の抽水植物群落も存在した.さらに,3ヵ所の繁殖場所から7ヵ所の確認場所に移動したと考えると,成虫は平均2,260±841mを移動すると推察できた.ただし,有効分散は3ヵ所の繁殖場所問の移動に限られるため,調査範囲内のアオヤンマの個体群ネットワークは非常に厳しい状況にあると思われた.アオヤンマを地域的に保全するには,繁殖場所問の距離が2,260±841mの範囲内でネットワークされた保全計画が重要と考えられた.
著者
田付 貞洋
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.39-45, 2008-04-15
被引用文献数
1 or 0

Although the Argentine ant is endemic to Argentina and some neighboring regions of South America, it has been spreading mostly all over the earth during last >100 years with modern human activities. In Japan, since its settlement was first found at Hatsukaichi City, Hiroshima Pref., in 1993, its distribution range has gradually expanded mostly to east getting Yokohama Port in 2007. Particularly in invaded areas, this ant shows extraordinarily high reproductive activity based mainly on the formation of much greater "supercolony" than in the original habitats and gives serious damages of various aspects, such as disruption of ecosystems, invasion to human houses and facilities, and agricultural crop losses. In this article, I introduce characteristic biology of this ant, including unicoloniality, multi-queen system and so on, as well as pest status, colony structures and putative invasion history in Japan, and discuss how this ant so harmful in its invaded areas and propose some novel control strategies using the synthetic trail pheromone to regulate the population densities via manipulation of its trail following behavior.
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.15-23, 1991 (Released:2016-08-01)
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-23, 2000 (Released:2016-08-05)
著者
小林 誠 岩井 大輔
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.133-136, 2007-09-07

The environmental conditions of the microhabitat of the giant water bug, Lethocerus deyrollei (Hemiptera : Belostomatidae) were studied in ponds and ditches in Tochigi Prefecture in the northern part of the Kanto Plain, Japan, during the its activity period between May and September in 2005. The relationship between the existence of Lethocerus deyrollei and the environmental factors was analyzed. The results showed that the factors affecting on the microhabitat of Lethocerus deyrollei were water temperature, water depth, substrate type and the presence of vegetation cover.
著者
桑原 保正 森 直樹 田辺 力
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.91-95, 2007-06-07
参考文献数
11

ジヤスデ目イトヤスデ科のオカツクシヤスデKiusiozonium okai(Takakuwa and Miyosi,1949)の防御分泌物には,Polyzonimineと2',3',5',6',7',7a'-ヘキサヒドロ-2,2-ジメチルスピロ[シクロペンタン-1,1'-{1H}ピロリジン]-7'-オキシム-O-メチルエーテルが主成分として,またニトロポリゾナミンが微量成分としてそれぞれ含まれることを確認した.このオキシムエーテルは中米産矢毒蛙のスピロピロリジンアルカロイド236であり,カエルと同所的な中米のジヤスデにこれまでその存在が証明されていたが,今回同じ化合物を日本のヤスデから検出した.
著者
板倉 修司 奥田 純子 宇田川 加苗 田中 裕美 榎 章郎
出版者
日本環境動物昆虫学会
雑誌
環動昆 (ISSN:09154698)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.107-115, 2006-10-14
参考文献数
36

イエシロアリとヤマトシロアリのニンフと職蟻に含まれる灰分,食物繊維,グリコーゲン,脂質,窒素,還元糖,トレハロースおよび水分を定量した.粗タンパク質抽出物のアミノ酸組成,エーテル抽出物に含まれる脂質の脂肪酸組成を分析した.シロアリ乾燥質量に対する総脂質含有率とタンパク質含有率(キチン由来の窒素を除いた推定値)は,イエシロアリのニンフで各々64.33%,15.50%,職蟻で46.46%,29.80%,ヤマトシロアリのニンフで69.08%,9.83%,職蟻で61.15%,20.98%であった.これら2種類のシロアリには,リノール酸(必須脂肪酸),オレイン酸,パルミチン酸およびステアリン酸,さらに必須アミノ酸(ヒスチジン,イソロイシン,ロイシン,メテオニン,フェニルアラニン,バリンなど)および非必須アミノ酸(アラニン,システイン,グルタミン酸,グリシン,プロリン,チロシンなど)が含有されていた.