著者
平山 英幸 里見 絵理子 木澤 義之 宮崎 万友子 田上 恵太 関根 龍一 鈴木 梢 余谷 暢之 菅野 康二 安保 博文 坂下 明大 佐藤 一樹 中川 左理 中澤 葉宇子 浜野 淳 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.171-180, 2022 (Released:2022-12-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

【目的】患者報告型アウトカムを用いて緩和ケアの質をアウトカムの視点から評価するための患者登録システムの実施可能性を検証すること.【方法】電子的データ収集による患者登録システムを2021年に8施設で運用した.1カ月間に緩和ケアチームが新規介入依頼を受けた全入院患者を前向きに登録した.症状評価はIPOSまたはESASを介入時,3日後,介入から1週間ごとに取得した.主要評価項目は患者と医療者による症状評価尺度への回答率である.【結果】318人が登録.患者の回答率は介入時59.1%,介入後37.0%で医療者の回答率は介入時98.4%,介入後70.3%だった.緩和ケアチームからは「患者の回答はサポートが必要で,タブレットよりも紙がよい」,「調査日や全体の管理が負担」などの意見が出た.【考察】実施可能性があると考えられる一方で,システムや運用方法の改善点が明らかになり,実装に向けた貴重な情報が得られた.
著者
西﨑 久純 石川 奈津江 平山 英幸 宮下 光令 中島 信久
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.271-276, 2017 (Released:2017-09-08)
参考文献数
10

【目的】在宅診療を受けているがん末期患者における褥瘡の予測危険因子を明らかにすることを目的とした.【方法】在宅診療を専門としている施設において,在宅のまま死亡にて診療終了となるまで施設入居者を含む在宅診療を受けていたがん末期患者95例について,後ろ向き研究を行った.【結果】褥瘡ができた患者は31名で,できなかった患者は64名であった.二変量解析の結果,統計学的に有意であった変数は,大浦・堀田スケール(以下,OHスケール)(P=0.02),過活動型せん妄(P=0.005),拘縮(P=0.008),ヘモグロビン値(P=0.02)で,多変量ロジスティック解析で有意であった変数は,拘縮(OR=16.55 P=0.0002) と,過活動型せん妄(OR=4.22 P=0.008)が独立した褥瘡のリスク因子として同定された.【考察】在宅診療を受けているがん末期患者においては,褥瘡の予測危険因子として過活動型せん妄についても考慮すべきである.