著者
平林 裕
巻号頁・発行日
vol.36, no.1/2, pp.180-194,
著者
平林 裕規
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.230-240, 2017-05-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
9

本研究では,手描き地図における描画の詳しさの部分的な違いに着目した新たな分析手法であるバッファ重心法を提案する.実際に,愛知県名古屋市東区に位置する東海中学・高校の在校生(中学3年生~高校3年生)を調査対象とした手描き地図調査を通してその有効性を検討する.手描き地図の分析手法の一つにバッファ法がある.一般に手描き地図では,詳しく描いてある部分とそうでない部分がある.バッファ法にはこの局所的差異をとらえられないという課題があった.空間認知における認知度の局所的差異は重要なテーマであり,その中でもアンカーポイント仮説などの理論が提唱されてきた.そこで,バッファ重心法を提案し,これを実際に適用することで認知地図の局所的差異の客観的な分析において一定の成果を得た.ここで提案するバッファ重心法は空間認知の局所的差異に関わる,今後の空間認知研究に貢献することができる.