著者
市川 朝子 渡辺 雄二 神戸 恵 平江 陽子 川嶋 慶子 下村 道子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.190-195, 2001-05-20
被引用文献数
4

希釈卵液ゲルの塩味として, 一般に用いられている食塩のほかに, 他の無機塩類を添加し, 調製したゲルの食味と物性の評価を行って, 食塩の代替塩として利用することが可能かどうかを検討した。その結果は以下のとおりである。(1)KCLを用いたゲルは, 硬さはNaClと同程度で, 色は明るく黄緑がかったゲルとなった。またKClをモル濃度でNaClの19.7%量以下で添加して併用することは, 実用的に利用され得るとみなされた。また, 卵を用いたゲル状食品にNaClと併用して用いるときは, NaClは0.068M(0.4%)程度のより低濃度でKClを添加する方法で, ゲルの硬さを補強することもできる。(2)MgCl_2を用いた卵液ゲルは硬く, 明度の暗いゲルとなった。味は舌にまとわりつくような後味が残り, NaClに添加しても有効とはみなされなっかた。(3)CaCl_2を用いた卵液ゲルは軟らかく, 離漿量の多い明度も低いゲルとなった。また, NaClにCaCl_2を添加した場合, 味の点では少量の添加は可能であるが, 添加量が増すと破断応力値は低下し, 軟らかいゲルとなった。したがってCaCl_2をNaClと併用して用いるときは, モル濃度でNaClの6.5%量以下が適当とみなされた。