著者
菅原 敬 堀井 雄治郎 久原 秦雅 平田 聡子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-26, 1999-08-28

アオモリマンテマは本州北部の青森県然岳とその周辺地域(白神山地の一部),秋田県男鹿半島,和賀山塊の限られた地域に産するナデシコ科の多年草である。この植物は,垂直に切り立った岩壁に生育し,また生育地も互いに離れていることから集団間に何らかの分化が生じていることが予想され,実際野外調査で和賀山塊産の個体は一見して花が大きいように思われた。そこで青森県および秋田県の5集団を用いて,この種の花形態(特に花冠サイズに着目)ならびに核形態を調査した。その結果,秋田県の集団(男鹿,和賀山塊の3集団)は花弁の幅が確かに青森県の集団(然岳,暗門)より広い傾向にあるが,全体としては連続した変異であることがわかった。また,染色体数は2n=72で,集団間に核型においても違いは認められなかった。この染色体数はこれまで報告された日本産種のなかではもっとも多く,同属の染色体基本数x=12を考慮すると倍数性(6倍体)由来と推定された。形態比較や染色体のデータに基づいて近縁と考えられるタカネマンテマとの関係についても若干の考察を試みた。
著者
平田 聡子 森 裕司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.845-850, 1995-10-15
被引用文献数
12

野生動物など捕獲, 採血が困難な動物種では, 生態研究や繁殖管理を目的に生殖内分泌機能の非侵襲的評価法の確立が待たれている. 糞中性ステロイドホルモン測定は, 糞の採材が動物を拘束する必要はなく容易に行えるため, 最も適していると考えられる. 本研究では反芻動物への応用を目指した研究モデルとして, シバヤギにおける糞中プロジェステロン測定法の確立を試み, 血漿中プロジェステロン濃度の変動との相関について検討を行った. 正常性周期を回帰する雌シバヤギ (n=4) および卵巣を摘出しプロジェステロンカプセルを皮下移植したヤギ (n=2) から糞および血液を経時的に採取し, それらのプロジェステロン濃度をラジオイムノアッセイ法により測定した. 糞の処理・保存・プロジェステロンの抽出方法について様々な条件で検討を行った結果, -20℃で凍結保存後に乾燥処理 (100℃で1.5時間) した糞0.25gをエーテルで一回抽出する簡便な方法を採用した. 本法による糞中プロジェステロンの回収率は約70%であった. 供試した全ての動物で, 糞中プロジェステロンと血漿中プロジェステロンの一致した変動が観察され, 両者の相関は交配させ妊娠に移行した場合および卵巣摘出ヤギにプロジェステロン処置した場合においても維持されていた. 以上の成績により反狗動物における糞中プロジェステロンの測定は排卵周期や妊娠を知る手段として有効であることが示された.