著者
武内 ゆかり 森 裕司 菊水 健史
巻号頁・発行日
2005 (Released:2005-04-01)

同一犬種内における気質の個体差の遺伝的背景を探る目的で,日本古来の柴犬と使役犬としても名高いラブラドールレトリバー種(盲導犬候補個体)に着目し,柴犬では飼い主による気質評価アンケートと,ラブラドールレトリバー種では訓練士による訓練評価記録と,主に申請者らが同定した気質関連遺伝子の多型との関係を解析した。その結果,柴犬では,他人に対する攻撃性とsolute carrier family 1, member 2遺伝子の一塩基多型が,ラブラドールレトリバー種では,活動性と同多型およびcatecholamine-O-methyltransferase遺伝子の一塩基多型が有意に関連していることが明らかとなった。
著者
森 裕司
出版者
THE SOCIETY FOR REPRODUCTION AND DEVELOPMENT
雑誌
Journal of Reproduction and Development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.j155-j157, 1995 (Released:2010-10-20)

動物行動学とは,動物の示す様々な行動の多様性と統一性を明らかにし動物の行動原理を解きあかそうとする学問領域であり,行動の発現機構や,行動の機能すなわち動物が生存し繁殖していく上でその行動が持つ意味,あるいは行動の発達や進化などについて実に様々な視点から研究が展開されている.本稿では,動物行動学の成り立ちとその発展の経緯について概説し,畜産学や獣医学といった応用動物科学分野における動物行動学の現状と今後の課題について考察する.
著者
増田 宏司 橋爪 千恵 菊水 健史 武内 ゆかり 森 裕司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.183-187, 2004-02-25
参考文献数
19
被引用文献数
7

人においてカテコールO-メチル基転移酵素(COMT)遺伝子の第4エクソンに存在する一塩基多型(G322A)はバリンからメチオニンヘのアミノ酸置換を伴い,酵素の活性を変化させるとともに"固執"や"統合失調症"といった性格や精神疾患との関連が示唆されている.そこで,犬における同様な多型を検索する目的で,まず犬のCOMT遺伝子断片のPCR増幅を試みた.得られた663 bp の遺伝子は人やラット,マウスのCOMT遺伝子と82%以上の相同性を有しており,犬COMT遺伝子である可能性が示された.続いて10頭のビーグル犬より得られたcDNAをもとに同遺伝子の多型部位を検索したところ,翻訳領域39,216,482番目に一塩基多型(G39A, G216A, G482A)が認められ,そのうちG482Aはアルギニンからグルタミンヘのアミノ酸置換を伴うものであった.さらに5犬種(ゴールデンレトリバー,ラブラドールレトリバー,マルチーズ,ミニチュアシュナウザー,シバ)から成る計266頭の血液より得られたゲノムDNAを用いてこれらの一塩基多型の発現頻度を犬種別に比較したところ,遺伝子型およびアレル頻度ともにG216AおよびG482Aについて有意な犬種差が認められた.これらの結果より,得られた遺伝子多型が犬の性格特性の遺伝的背景を探る上で有用な手掛かりとなる可能性が示された.
著者
沢崎 徹 森 裕司 加納 康彦
出版者
Japanese Association for Laboratory Animal Science
雑誌
Experimental Animals (ISSN:00075124)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.23-38, 1979-01-31 (Released:2010-12-09)
参考文献数
8

1.シバヤギに関する形態学的資料を整備する目的で, できる限り自然に近い状態に保定した雄を用い, 断面解剖学的に検討を加えた。2.胸部, 腹部, 骨盤腔部の各臓器, および筋の解剖学的位置関係を明らかにした。3.これらの成績の詳細は, Fig.2~Fig.14に示した。
著者
平田 聡子 森 裕司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.845-850, 1995-10-15
被引用文献数
12

野生動物など捕獲, 採血が困難な動物種では, 生態研究や繁殖管理を目的に生殖内分泌機能の非侵襲的評価法の確立が待たれている. 糞中性ステロイドホルモン測定は, 糞の採材が動物を拘束する必要はなく容易に行えるため, 最も適していると考えられる. 本研究では反芻動物への応用を目指した研究モデルとして, シバヤギにおける糞中プロジェステロン測定法の確立を試み, 血漿中プロジェステロン濃度の変動との相関について検討を行った. 正常性周期を回帰する雌シバヤギ (n=4) および卵巣を摘出しプロジェステロンカプセルを皮下移植したヤギ (n=2) から糞および血液を経時的に採取し, それらのプロジェステロン濃度をラジオイムノアッセイ法により測定した. 糞の処理・保存・プロジェステロンの抽出方法について様々な条件で検討を行った結果, -20℃で凍結保存後に乾燥処理 (100℃で1.5時間) した糞0.25gをエーテルで一回抽出する簡便な方法を採用した. 本法による糞中プロジェステロンの回収率は約70%であった. 供試した全ての動物で, 糞中プロジェステロンと血漿中プロジェステロンの一致した変動が観察され, 両者の相関は交配させ妊娠に移行した場合および卵巣摘出ヤギにプロジェステロン処置した場合においても維持されていた. 以上の成績により反狗動物における糞中プロジェステロンの測定は排卵周期や妊娠を知る手段として有効であることが示された.