著者
田中 幸一 山下 裕一 高地 俊郎 平野 忠 白日 高歩
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.2196-2199, 2000-08-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
3 3

自験例は, 60歳,女性. 1996年8月30日左腰背部膨隆を主訴として当院を受診した.左腰背部に大きさ8×7cmの柔らかく圧痛のない腫瘤を認めた.腹部超音波, CTおよびMRI検査により上腰ヘルニアと診断した.手術所見では,直径2.5cmの腹横筋腱膜の断裂がヘルニア門となっており腎周囲の後腹膜脂肪の脱出を認めた.術式は周囲組織が脆弱であったため,ヘルニア門を閉鎖した後Marlex Mesh®を縫着して補強した. 1999年現在まで再発をみとめていない. 上腰ヘルニアを臨床において経験することは稀であり,本邦では自験例を含めて37例の報告がある.その診断は理学的所見から容易であったが,超音波, CT, MRI検査がヘルニアの内容,周囲との関係を知るうえで有用であった.発見された時点で症例に応じた外科的修復を行うことを原則としてよい.
著者
松本 樹典 道 勇治 平野 忠夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.511, pp.35-45, 1995
被引用文献数
3 1

石川県能登半島に広く分布する珪藻泥岩地盤において鋼管杭の試験工事を実施した. 試験工事では, 鋼管杭の支持力機構の解明を目的として, 打込み試験, 再打撃試験, 押込み試験, 引抜き試験, 杭径と同一径を持つ大型の平板を用いた平板載荷試験などを実施した. 本試験工事の特色は, 杭試験時の地盤の応答 (間隙水圧, 管内土の挙動) を測定したこと, また地盤調査および土質試験を杭打設前と静的載荷試験終了後に実施したことである. 本論文ではこれらの試験結果を述べるとともに, 測定結果に基づいて支持力の経時変化現象や管内土の形成メカニズムについて考察する. さらに, 載荷試験結果と各種指針による支持力推定結果を比較・検討することにより, 地盤調査や土質試験が杭の台理的な設計のために重要であることを述べる.