著者
深江 政秀 大石 純 乗富 智明 山下 裕一 長谷川 傑
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.023-028, 2018-01-31 (Released:2018-09-21)
参考文献数
9

[緒言]CTの性能は向上しているが,腸閉塞の治療成績は向上していない。[目的]腸閉塞の診療における造影CTの読影法を検討した。[方法]2011年4月から2015年10月の4年7ヵ月間に入院した腸閉塞162例のうちで造影CTが行われた115例を後ろ向きに検討した。[結果]腸管虚血群39例と腸管非虚血群76例を比較した。腸管虚血の多変量解析では腸管壁造影低下(Odds比4.49,P<0.01)が有意であった。有用性が期待された項目は腹膜刺激症状(Odds比14.9,P=0.05),BE(Odds比30.5,P=0.07),腸間膜浮腫(Odds比0.01,P=0.07)であった。[結語]腸管虚血の診断には腸管壁造影低下がもっとも有用である。腸管虚血の否定には腸間膜浮腫が有用と思われる。
著者
田中 幸一 山下 裕一 高地 俊郎 平野 忠 白日 高歩
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.2196-2199, 2000-08-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
27
被引用文献数
3 2

自験例は, 60歳,女性. 1996年8月30日左腰背部膨隆を主訴として当院を受診した.左腰背部に大きさ8×7cmの柔らかく圧痛のない腫瘤を認めた.腹部超音波, CTおよびMRI検査により上腰ヘルニアと診断した.手術所見では,直径2.5cmの腹横筋腱膜の断裂がヘルニア門となっており腎周囲の後腹膜脂肪の脱出を認めた.術式は周囲組織が脆弱であったため,ヘルニア門を閉鎖した後Marlex Mesh®を縫着して補強した. 1999年現在まで再発をみとめていない. 上腰ヘルニアを臨床において経験することは稀であり,本邦では自験例を含めて37例の報告がある.その診断は理学的所見から容易であったが,超音波, CT, MRI検査がヘルニアの内容,周囲との関係を知るうえで有用であった.発見された時点で症例に応じた外科的修復を行うことを原則としてよい.
著者
山下 裕一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日臨外会誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.7, pp.1599-1608, 2016

福岡大学消化器外科教室では外科医減少の中で若手外科医育成に取り組んできた.その基本理念は,時代の展開をリードする外科教室を目指し「若手外科医育成のために"進化する外科"」であった.第77回総会では,同じ理念を総会テーマと総会会長講演で用いた.講演内容は,1.外科医減少,2.その対策,3.手術術式の展開とスピード感,4.コモディティー化,5.教室の臨床研究であった.すなわち,外科医数は20~30歳台までは減少し,人口は2045年までは高齢者年齢層が目立つため外科医不足深刻化に警鐘を鳴らした.内視鏡外科の展開は目覚しく,術者の若返りで大変化の様相を示す.この中で,外科医のコモディティー化の対処策や周術期管理労力軽減に役立つ臨床研究を示した.今後も,外科医減少の状況において若手外科医育成に役立つあらゆる方策を練り,若手医師に魅力ある外科医の環境整備は将来に向け重要な課題であることを述べた.
著者
藤吉 学 磯本 浩晴 白水 和雄 山下 裕一 小畠 敏生 梶原 賢一郎 掛川 暉夫
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.1116-1120, 1989-05-01
被引用文献数
28

大腸癌卵巣転移の臨床病理学的特徴を明らかにするとともに,予防的卵巣摘除術の適応を明確にする目的で,原発巣切除を受けた女性大腸癌症例309例を対象として検討を行い,以下の結果を得た.1.卵巣転移を5例に認め,全体では5/309(1.6%),閉経前3/61(4.9%),閉経後2/248(0.8%)であった.2.卵巣転移は,深達度a_2,s以上でなおかつリンパ節転移n_2(+)以上の症例に認められた.3.腹膜播種陽性例では,卵巣転移は3/25(12%)と高率であった.以上より予防的卵巣摘除術の適応は,1)明らかに卵巣に異常のあるもの.2)腹膜播種のあるもの.3)明らかな漿膜浸潤や外膜浸潤があり,リンパ節転移高度なものと考えている.