著者
小林 理 成田 昌紀 河内 広志 浅野 良三 外山 譲二 永井 明彦 来生 哲 荒川 正昭 藤田 雅 広井 忠夫
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.925-931, 1984-10-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
11

症例は, 25歳男性で家業は味噌製造業である. くり返す気管支喘息, 血清IgE上昇, くり返す肺浸潤影があり, 気管支造影で典型的な中枢性気管支拡張像を認めた. こうじに含まれる Asp. oryzae およびその亜種が喀痰中より検出された. エドワードの二重透析法によりそれらの真菌より抗原を作成し, オクタルニーの沈降抗体法を施行したところ患者血清との間に沈降線を認めた. 吸入誘発試験では, 即時型および遅発型反応が陽性となった. TBLBでは, 肺胞壁および肺胞腔内に, 好酸球, リンパ球, 形質細胞の浸潤を認めた. 以上より Asp. oryzae およびその亜種によるABPAと診断した.