著者
庄司 一夫
出版者
公益社団法人 腐食防食学会
雑誌
Zairyo-to-Kankyo (ISSN:09170480)
巻号頁・発行日
vol.65, no.8, pp.321-325, 2016-08-15 (Released:2017-03-04)
参考文献数
3

CCS大規模実証試験プロジェクトが北海道苫小牧市で進行中である.この経済産業省によるプロジェクトは2012年度から2020年度までが予定されており,CO2の回収から圧入・貯留までのCCS一貫システムの実現性を実証するものである.本実証試験では,CCS技術の実用化を目指し,商業設備を排出源として,CO2を年間10万t以上の規模で苫小牧港沿岸の海底下の深部塩水層に圧入・貯留する計画である.実証試験設備の建設は2015年10月に完了し,試運転を行っている.CO2圧入は2016年4月に開始予定である.
著者
大塚 康夫 王 野 庄司 一夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では、二酸化炭素を酸化剤として用いて、天然ガスの主成分であるメタンを、エタンならびにその二次的分解生成物であるエチレンに、低温で選択的に直接転換する方法の開発を目指した。さまざまなランタナイド酸化物を触媒とし、固定床石英製反応器中でCH_4とCO_2の反応を行ったところ、プラセオジムやテルビウムの酸化物上では、CH_4からC_2H_6への選択的変換が450〜650℃の低温で極めて速やかに進行することを見いだした。W/Fの増加にともない、C_2H_6収率は増大し最大で8C-mol%に達したが、触媒活性はいずれも反応時間の経過とともに緩やかに低下した。これらの酸化物は上記の反応温度域では容易に酸素を放出するので、その過程で生成した格子欠陥が反応に関与しているものと推論される。次ぎに、耐久性のある高性能複合触媒の開発を目的として、酸化還元能を持つCe、Cr、またはMnの酸化物粉末を、塩基性のCaOを与えるCa硝酸塩水溶液に含浸して焼成したところ、いずれの二元系酸化物触媒も、C_2生成に対して相乗効果を示すことを見いだした。C_2炭化水素の選択率と収率はともにCO_2分圧の上昇に従い増加し、前者は70kPaの分圧で65〜75%に達した。これらの3種の触媒は、ガス流通時間が8〜10hにおいても、安定な性能を示した。TPD、XRD、XPSを用いる触媒解析の結果より、CO_2はまずCa^<2+>サイトに吸着し、吸着CO_2は隣接するCe^<3+>、Cr^<3+>またはMn^<2+>のサイトで活性化されて表面酸素種を与え、この化学種がC_2炭化水素の選択的生成の酸化剤として機能することが明らかとなった。本研究で得られた成果は、多量のCO_2を含む低品位天然ガスの直接転換利用プロセスの発展に貢献するものと期待される。