著者
須賀 知美 庄司 正実
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.137-153, 2008
被引用文献数
1

感情労働が職務満足感やバーンアウトに及ぼす影響については,これまでの研究で一貫した結果が得られていない。本稿は,これまでの研究を概観し,研究対象や測定方法などを整理することを目的とした。その結果,さまざまな職業が調査対象とされ,感情労働の測定指標もさまざまであることが明らかにされた。この測定指標の混在が,一貫した結果が得られない理由の一つと考えられる。また,感情労働以外の独立変数や調整変数,媒介変数について,仕事の自律性やソーシャル・サポートなどの労働条件や職場環境に関する変数は多いが,パーソナリティや態度のような変数が少ないこと,労働者が感情労働を行うことよるクライエントや客からの感謝・承認を含めた検討がほとんどないことが指摘された。また,感情労働と他の変数の交互作用の検討も少ないことが示された。さらに,日本での文献数は外国の文献数と比較すると遥かに少ないことが明らかになった。これまでの研究の問題点に対する今後の課題について言及された。
著者
須賀 知美 庄司 正実
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.77-84, 2007

サービス業従事者は,職務上適切な感情状態を保つための感情管理-感情労働-が,職務の一部として求められている。特に,接客サービスを基本とする職種では,そのサービスの質には従業員個人のパーソナリティが大きく影響すると考えられている。本研究では,飲食店従業員(203人)を対象に,感情労働を行っていることを示す行動-感情労働的行動-とパーソナリティの関連を検討した。本研究では,サービス業と関連があるパーソナリティとしてセルフ・モニタリングと自己意識について取り上げた。重回帰分析の結果,予想通り,セルフ・モニタリングの自己呈示変容能力が感情労働的行動の下位尺度のすべて(感情の不協和,客の感情への敏感さ,客へのポジティブな感情表出)と関連を示した。しかし,予測に反して,自己意識の公的自己意識は感情労働的行動との関連がほとんど見られず,私的自己意識が関連を示した。今後は,感情労働に関連するパーソナリティについて,顧客満足のためのパフォーマンスと,従業員自身の職務満足感の両側面から捉えた研究が必要であると考える。
著者
妹尾 栄一 大原 美知子 庄司 正実
出版者
(財)東京都医学研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

青年期の薬物乱用・依存の病体に対する、適切な診断評価スケールの標準化を企図して本研究を開始している。平成17年度は、青年期版の依存症質問紙開発の研究として、最も汎用されているDSM-IVの診断基準が、未成年の薬物依存症者でどの程度の妥当性を有するか、半構造化面接を用いて検証した。その結果、(1)薬物の薬理効果に由来する回答、(2)薬物を減らそうとする行動、(3)薬物使用の結果の精神症状の3つの問題領域を抽出することが出来た。今後の課題としては、使用した薬物毎の細かな質問項目の改変、多剤乱用者への設問の工夫、青年期の中でもより慢性使用の場合の後遺症の評価など、洗練すべき課題である。本研究課題の遂行で入手した海外で汎用される青年期版質問紙を参照しつつ、最終的に日本に相応しい標準化質問紙を完成する。