著者
黒沢 幸子 日高 潤子 張替 裕子 田島 佐登史 Sachiko Kurosawa Junko Hidaka Yuko Harigae Satoshi Tajima 目白大学人間学部 目白大学人間学部 目白大学人間学部 目白大学人間学部 Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
no.4, pp.11-23, 2008

筆者らは心理学を専攻する大学生をボランティアとして,小・中学校へ派遣するシステムを構築した。この「メンタルサポート・ボランティア活動」システムは,子どもたちの心理的支援のためのボランティア活動と,それを支える大学での授業から成り立っている。本研究は,このシステムにおいてボランティア活動を体験した学生の変化・成長の様相を明らかにすることを目的とした。そのため,学生が活動を振り返って記述した感想と活動評価アンケートへの回答を対象として,KJ法による分類を行った。分析対象となった回答は,延べ179名分であった。分析の結果,学生の変化・成長は,「学生自身の人間的変化・成長」,「現場での実践から得た学び」,「授業から得た学び」の3つの大グループと,その他3つの中グループに分類された。この3つの大グループは,相互作用・相互促進していることが見出された。キャリア教育の視点から見た学生の変化・成長は,「自他の理解能力」,「コミュニケーション能力」の2つに集約された。また,本システムにおけるボランティア活動が学生の「人間関係形成能力」を育成している可能性が示唆された。
著者
齋藤 路子 沢崎 達夫 今野 裕之 Michiko Saito Tatsuo Sawazaki Hiroyuki Konno 目白大学大学院心理学研究科 目白大学人間学部 目白大学人間学部 Mejiro University Graduate School of Psychology Mejiro University Faculty of Human Sciences Mejiro University Faculty of Human Sciences
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.(4), pp.101-109, 2008

本研究の目的は,完全主義と帰属スタイルの関連の検討,および完全主義が抑うつに至るプロセスに関するモデルを構成し,共分散構造分析による検討を行うことであった。大学生444名は完全主義,内的安定的帰属スタイル,抑うつを測定する質問紙に回答した。その結果,完全欲求および高目標設定は成功場面でも失敗場面でも内的安定的帰属と関連する一方で,失敗過敏および行動疑念は失敗場面のみ内的安定的帰属と関連することが示された。共分散構造分析の結果,(a)適応的完全主義が強いほど,対人領域における成功に対して内的安定的帰属をしやすく,ポジティブ感情が強まること,(b)不適応的完全主義が強いほど,対人領域における失敗に対して内的安定的帰属をしやすく,抑うつが強まることが示された。最後に,完全主義が抑うつに至る認知プロセスについて介入方法も交えて議論した。
著者
住沢 佳子 福島 脩美 Yoshiko Sumizawa Osami Fukushima 目白大学大学院心理学研究科 目白大学人間学部 Mejiro University Graduate School of Psychology Mejiro University Faculty of Human Sciences
出版者
目白大学
雑誌
目白大学心理学研究 = Mejiro journal of psychology (ISSN:13497103)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.111-123, 2008

人型シールは,充分な面接時間がとれずとも質的に低下せず,圧迫感を与えない方法でクライエントの対人関係や対人距離感を知ることを目的とし主に学生相談の中でタックシール(住沢,2002),HRシール(Human Relation seal)(住沢,2003),そして人型シールと徐々に形を変えて導入されてきた。本研究は,クライエントによって認知された対人関係を的確に査定するため,また面接の話題を具体化する道具としても活用することを目的に開発するものである。本稿は人型シール開発のための一連の研究の1つとして人型シール同士の方向,距離,大小,上下について調べた。調査方法としては,大人と子供,好きな相手,過小評価,支配的,味方,板ばさみなどを含む事例を参加者が人型シールで表現し,表現された人型シールから,方向,距離,大小,上下の特徴を調べた。その結果,たとえば互いに好意を持つ関係を表現する場合,2人を向かい合わせに貼るという表現もあるが,近くに貼ることで表現されること,つまり,方向と距離の表現の関係が明らかになった。大小に関しては大人と子供の表現の他に大きく感じる人には大,小さく感じる人には小の人型シールが使用されることがわかった。また上下に関しては立場の強い人が上,立場の弱い人が下に貼られる傾向がみられた。また,貼られた人型シールに漫画の描き込みが多く見られ,人型シールによるクライエント理解に新たな側面を見出すことができた。The "Hitogata-seal" (person form seal) was developed as a tool of adequate assessment of perceived interpersonal relationship in the counseling situation. Also it was expected to become a interaction topic between client and counselor. This paper was one of research projects with hitogata-seal. Participant were given the brief description of two cases in which interpersonal relationship were presented, and were asked to express their perception by arranging of hitogata-seals, in direction, distance, size, and position. The results were the following : The distance was related to the direction for each other. A large seal showed a adult, and a small one expressed a child. In addition, a large seal was used also for the person whom the participant felt important or influential, and a small one as unimportant or weak. A person in strong position was arranged in upper part, and a person in weak was arranged below. A lot of cartoons were drawn on the hitogata-seal. This was able to find a new aspects to the client understanding with hitogata-seal.