著者
庭本 博文 大橋 秀一 岡本 英三
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.203-213, 1993 (Released:2011-06-08)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

重症慢性便秘患者20例の切除結腸を用いて, 壁内神経細胞の計測と平滑筋の収縮能を検討した.画像解折装置を用いて計測した結腸1周当たりの神経細胞数は, 便秘群では154±32個と, 排便障害のない早期大腸癌患者10例の対照群の274±67個に比べ有意の減少, 核面積は便秘群では102.8±30.6μ2と, 対照群62.0±19.6μ2に比べ有意の増加 (大型化) を示した.新鮮結腸筋組織のmuscarinic acetylcholinereceptorの [3H] QNBに対する特異的結合量は, 便秘群では447.0±79.6fmole/mg proteinと対照群の291.6±31.2f mole/mg proteinに比べ有意の増加を示した.さらに, muscarinic agonistであるoxotremorineに対する結腸筋条片の用量反応曲線において, 便秘群は対照群より著明な左方移動を示し, Cannonのdenervation supersensitivityの存在を示唆した.以上より重症便秘腸管の平滑筋は収縮能を保持しているが, コリン作動性の興奮性ニューロンの減少およびそれによる相対的抑制ニューロンの優位が慢性便秘の病態に深く関与していると推論された.
著者
庭本 博文 大橋 秀一 柏谷 充克 柴原 浩章 大門 美智子 伊熊 健一郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.1457-1461, 1988-08-25 (Released:2009-09-30)
参考文献数
15

症例は18歳未婚女性.無月経を主訴に婦人科受診し,処女膜閉鎖を認めた.腟開口術と腹腟鏡検査にて,腟欠損,卵巣卵管正常形態,双角痕跡子宮を確認し,さらに内分泌細胞遺伝的には正常で, Rokitansky-Küster-Hauser症候群と確定診断を得た.本症例にS状結腸を用い人工造腟術を施行し成功した.先天性腟欠損症に対して種々の人工造腔術が行われているが,それぞれ長所短所がある.最も重要なことは,永久性があり,できるだけ自然に近い腟を形成することであり,この点からS状結腸を用いた造腟術が理想的であると思われる.