著者
粟田 有紀 川﨑 エミ 大谷 美幸 酒田 伴子 新城 泰子 長田 三枝 大野 秀樹 大橋 秀一
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.623-628, 2015 (Released:2016-01-01)
参考文献数
5

【背景】血管迷走神経反応(vasovagal reaction: VVR)は、採血中や採血後に迷走神経興奮によって生じる諸症状を総称する。血圧低下、徐脈、吐き気などを示し、重症の場合には、意識消失、痙攣、失禁にいたる。不安や緊張によって起こりやすいと言われており、採血の副作用としては最も発生頻度が高いとされている。【目的】健保連大阪中央病院健康管理センターにおけるVVRの実態調査を行い、対応策を作成する。【方法】2012年11月から2013年10月までの1年間に、総受診者55,150名中VVRを発症した144名を対象として、発症率・性別・年齢・程度・採血体位・回復時間を調べた。程度の判定基準には厚生労働省の「血管迷走神経反応による症状群の程度別分類」を用いた。さらに看護師20名の意識調査を行い、これらを総合的に検討した。【結果】VVR発症率は0.26%、男女比では女性が、年齢別では若年層が高い傾向となった。程度別では最も軽いⅠ度が128名(88.9%)、Ⅱ度が9名(6.3%)、Ⅲ度が7名(4.9%)となった。採血体位ではベッド上採血が全てⅠ度にとどまり、重症化を防いでいる事が分かった。回復時間は106名(73.6%)が5分以内に回復し、離床上の有用な目安となった。また、看護師の意識調査からⅡ度以上は15分間のベッド上安静が適切であると判断した。【結語】健診での採血時VVRは高頻度ではないが特に若年者、女性に注意することが重要である。また離床上の目安としては5分毎のバイタルサイン測定を織り込んだ「採血によるVVR対応策」を作成することによって、一定の安全対策が確立できた。
著者
庭本 博文 大橋 秀一 岡本 英三
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.203-213, 1993 (Released:2011-06-08)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

重症慢性便秘患者20例の切除結腸を用いて, 壁内神経細胞の計測と平滑筋の収縮能を検討した.画像解折装置を用いて計測した結腸1周当たりの神経細胞数は, 便秘群では154±32個と, 排便障害のない早期大腸癌患者10例の対照群の274±67個に比べ有意の減少, 核面積は便秘群では102.8±30.6μ2と, 対照群62.0±19.6μ2に比べ有意の増加 (大型化) を示した.新鮮結腸筋組織のmuscarinic acetylcholinereceptorの [3H] QNBに対する特異的結合量は, 便秘群では447.0±79.6fmole/mg proteinと対照群の291.6±31.2f mole/mg proteinに比べ有意の増加を示した.さらに, muscarinic agonistであるoxotremorineに対する結腸筋条片の用量反応曲線において, 便秘群は対照群より著明な左方移動を示し, Cannonのdenervation supersensitivityの存在を示唆した.以上より重症便秘腸管の平滑筋は収縮能を保持しているが, コリン作動性の興奮性ニューロンの減少およびそれによる相対的抑制ニューロンの優位が慢性便秘の病態に深く関与していると推論された.
著者
粟田 有紀 川﨑 エミ 大谷 美幸 酒田 伴子 新城 泰子 長田 三枝 大野 秀樹 大橋 秀一
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.623-628, 2015

【背景】血管迷走神経反応(vasovagal reaction: VVR)は、採血中や採血後に迷走神経興奮によって生じる諸症状を総称する。血圧低下、徐脈、吐き気などを示し、重症の場合には、意識消失、痙攣、失禁にいたる。不安や緊張によって起こりやすいと言われており、採血の副作用としては最も発生頻度が高いとされている。<br>【目的】健保連大阪中央病院健康管理センターにおけるVVRの実態調査を行い、対応策を作成する。<br>【方法】2012年11月から2013年10月までの1年間に、総受診者55,150名中VVRを発症した144名を対象として、発症率・性別・年齢・程度・採血体位・回復時間を調べた。程度の判定基準には厚生労働省の「血管迷走神経反応による症状群の程度別分類」を用いた。さらに看護師20名の意識調査を行い、これらを総合的に検討した。<br>【結果】VVR発症率は0.26%、男女比では女性が、年齢別では若年層が高い傾向となった。程度別では最も軽いⅠ度が128名(88.9%)、Ⅱ度が9名(6.3%)、Ⅲ度が7名(4.9%)となった。採血体位ではベッド上採血が全てⅠ度にとどまり、重症化を防いでいる事が分かった。回復時間は106名(73.6%)が5分以内に回復し、離床上の有用な目安となった。また、看護師の意識調査からⅡ度以上は15分間のベッド上安静が適切であると判断した。<br>【結語】健診での採血時VVRは高頻度ではないが特に若年者、女性に注意することが重要である。また離床上の目安としては5分毎のバイタルサイン測定を織り込んだ「採血によるVVR対応策」を作成することによって、一定の安全対策が確立できた。
著者
芳賀 嘉久 荻野 祥樹 大橋 秀一 味戸 忠春 橋本 和典 沢田 拓士
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.115-120, 1997-02-25
参考文献数
24

Actinobacillus pleuropneumoniaeの溶血性菌体外毒素であるA. pleuropneumoniae RTX-toxin I(Apx I)およびApx IIの防御効果を豚で評価した. 供試したヘモリジンは, A. pleuropneumoniae血清型1, HA-337株の培養上清から, Apx IおよびApx IIの両方を認識する単クローン抗体をリガンドに用いたイムノアフィニティークロマトグラフィーにより精製した. 精製ヘモリジンにリン酸アルミニウムゲルアジュバントを混合したワクチンを4頭の豚に注射した. 対照群の4頭にはプラセボーを投与した. 溶血中和抗体は, ブースター注射後ワクチン接種群にのみ認められた. 同一菌株での噴霧攻撃後, 4頭の対照豚のうちの1頭が死亡した. 生残した3頭も重度の肺炎症状を呈し, 剖検時にはこれらの豚に広範囲に及ぶ肺病変が認められた. 対照的に, ワクチン接種群に死亡豚はなかった. 攻撃後, 2頭のワクチン接種豚に一過性の発熱だけが観察された. 剖検時に, 本群の2頭の肺にわずかな限局した病変が認められたが, 残りの2頭には肺病変はまったく認められなかった. これらの結果から, Apx IおよびApx IIから成るヘモリジンワクチンは, 血清型1に起因する豚胸膜肺炎に対して有効な防御活性を有することが示された.
著者
庭本 博文 大橋 秀一 柏谷 充克 柴原 浩章 大門 美智子 伊熊 健一郎
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.1457-1461, 1988-08-25 (Released:2009-09-30)
参考文献数
15

症例は18歳未婚女性.無月経を主訴に婦人科受診し,処女膜閉鎖を認めた.腟開口術と腹腟鏡検査にて,腟欠損,卵巣卵管正常形態,双角痕跡子宮を確認し,さらに内分泌細胞遺伝的には正常で, Rokitansky-Küster-Hauser症候群と確定診断を得た.本症例にS状結腸を用い人工造腟術を施行し成功した.先天性腟欠損症に対して種々の人工造腔術が行われているが,それぞれ長所短所がある.最も重要なことは,永久性があり,できるだけ自然に近い腟を形成することであり,この点からS状結腸を用いた造腟術が理想的であると思われる.
著者
大橋 秀一 瀧澤 秀明 松井 誠
出版者
愛知県農業総合試験場
雑誌
愛知県農業総合試験場研究報告 (ISSN:03887995)
巻号頁・発行日
no.32, pp.207-214, 2000-12
被引用文献数
5

和牛の肉質向上を図るため、ビタミンCを和牛に投与した場合、脂肪交雑を増加させる効果を検討した。 1 脂肪交雑は、肥育後期にビタミンCを給与した場合、有意に高くなった。 2 増体量は、ビタミンCを肥育前期に給与した場合、肥育後半の増体量が肥育前期無給与区に比較して有意に大きく、肥育前期の発育促進が認められた。 3 肉の締まり及びきめは、肥育後期にビタミンCを給与した試験区は肥育後期無給与区に比較して有意に優れていた。 4 肉質等級は、肥育後期にビタミンCを給与した試験区は肥育後期無給与区に比較して有意に優れていた。 以上のことから、ビタミンCの肥育前期の給与は発育促進を、肥育後期の給与は脂肪交雑基準(BMS)、締まり及びきめ等肉質を改善させる効果があると考えられた。