著者
藤本 隆宏 延岡 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.43-55, 2006-06-20 (Released:2022-08-05)
参考文献数
30

企業間の競争力差の内実を根本から解明するためには,経営戦略論と技術・生産管理論の連携が望ましいが,現実には空隙が生じている.これを埋める一策として,「組織能力」概念を中核においた「長期継続的なデータ収集に基づく定量的・定性的実証分析」が有効だと論じる.例として,筆者らが20年以上続けてきた「自動車製品開発国際比較調査」を示し,組織能力の具体的中身や発生過程の動態を理解するには,長期間の測定や定点観測が不可欠だと主張する.継続は力である.
著者
延岡 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.4-14, 2007-06-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
20

優れた技術や製品を開発できたとしても,競合企業に模倣され,持続的な業績に結びつけることが困難になっている.本稿では,模倣回避のメカニズムとして,特許などの法的・制度的な権利獲得と,組織能力の長年の積み重ねの2つがあり,持続的な業績のためには後者が特に重要であることを議論する.また,積み重ねる組織能力の内容として,技術者の学習および,ノウハウが蓄積された製造設備・実験機器,擦り合わせの組織ルーチンの3つが鍵を握ることがわかった.
著者
青島 矢一 延岡 健太郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.20-36, 1997 (Released:2022-07-22)
被引用文献数
17

競争環境が厳しくなる中,短いリードタイムで連続的に製品を導入していくことがますます重要になってきている.しかし,個々の新製品開発プロジェクトで創造される「プロジェク卜知識」を,他のプロジェクトヘと効果的に移転・伝承する体系的なメカニズムをもつ企業は必ずしも多くない.それは,プロジェクト知識が開発の過程やシステムに関係する暗黙知的要素を多く含むがゆえのマネジメントの難しさを反映している.本論文は,プロジェクト知識を効果的に移転・蓄積する方法として人的移転型プロジェクト連鎖と時間的オーバーラップ型プロジェクト連鎖の2つの方法を議論する.プロジェクト間の直接連鎖に関するこうした議論は従来の新製品開発組織論に新しい視点を提供する.