著者
柳井 徳磨 柵木 利昭 石川 勝行 酒井 洋樹 岩崎 利郎 森友 靖生 後藤 直彰
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.35-40, 1996-01-25
参考文献数
20
被引用文献数
1

食肉検査所で採取した健康なウマの脳に認められたミネラル沈着症の初期像とその形態学的特徴について検討した. 3歳から10歳のウマ20例を検索し, 12例で淡蒼球の血管に種々の程度のミネラル沈着病変を認めた. 3歳では8例中3例に, 4歳以降では12例中9例に病変を認めた. 中等度以上の変化は4歳以降に認められたことから, 加齢との関連が示唆された. 沈着病変の発現形態は大きく2型に分けられた. 毛細血管の周囲における小型球状沈着物; 細動脈, 小動脈および小静脈の血管壁における塊状の沈着物であった. いずれの沈着病変もPAS反応には強陽性, コッサ反応およびベルリン・ブルー染色には弱陽性を示した. 元素分析では多量のアルミニウム, 中等量の燐, 亜鉛, カルシウムおよび鉄, 微量のナトリウムが検出された.
著者
林 永昌 西村 亮平 野崎 一敏 佐々木 伸雄 廉沢 剛 後藤 直彰 伊達 宗宏 竹内 啓
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.1017-1022, 1992-10-15 (Released:2008-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
25 30

膝蓋靭帯欠損を作製したウサギに対し, 磁場強度0(対照群), 2, 10および50Gauss(G)の変動電磁場刺激を連日6時間行い, 各群に対し1週ごとに4週後まで肉眼的観察, 病理組織学的検索および力学的強度試験を行った. その結果, 欠損作製2週後における肉眼および病理組織学所見では, 対照群および2G, 10G群で, 靭帯欠損部が依然陥没していたのに対し, 50G群では出血, 壊死像はすでに消失し, 他群に比べ走行性のより一致した膝原線維が増加した. この傾向はその後も持続し, 50G群で最も早期の修復像が認められた. 一方, 引張り強度試験では, すべての刺激群で, 対照群よりいずれの週も高値を示し, かつ50Gが最も高値を示した. 以上の結果から, 50Gの変動電磁場刺激は靭帯の修復機転の少なくとも初期段階に対し, 組織学的, 力学的な促進効果を示すことが示された.