著者
加藤淳 中野倫靖 後藤真孝
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MUS-104, no.15, pp.1-7, 2014-08-18

本稿では、歌詞を歌声と同期してアニメーションさせる Kinetic Typography と呼ばれる動画表現の制作環境 TextAlive を提案する。既存の制作ツールでは、歌詞と歌声の同期を手作業で取り、文字や単語、複数単語から成るフレーズに対して個別に望みの動きを設計する必要があった。その際は、動きを規定するアルゴリズムのパラメタを、スライダーなどの汎用 GUI で調整して試行錯誤を重ねていた。一方、本制作環境では、歌詞と音楽の時間的対応付けを自動で推定し、動きのアルゴリズムに対する初期パラメタを自動生成する。さらに、動きのアルゴリズムを編集できるコードエディタを備え、プログラマがパラメタ調整に適した専用 GUI を容易に提供できるフレームワークを提供する。これにより、TextAlive のユーザは Kinetic Typography を一から作る必要がなくなり、初めに時間合わせなどを行う手間をかけずに済む。また、歌詞の動きをインタラクティブかつグラフィカルに設計できるようになる。
著者
中野倫靖 吉井和佳 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.1-7, 2013-08-24

本稿では、複数の歌声から得られる音響特徴量をトピックモデルによって分析することで、歌声の特性を説明する新しい手法を提案する。従来、歌手の特性 (性別や声種等)、歌い方の特性 (声区やF0軌跡のモデル化等)、聴取印象 (明るさ等)、楽曲の特性 (楽曲ジャンルや歌詞等) を分析・推定したりする研究はあったが、複数の歌声から分かるような潜在的な意味を分析する研究はなかった。本稿では、伴奏と歌声を含む音楽音響信号から、歌声の線形予測メルケプストラム係数 (LPMCC) と ΔF0 を特徴量として自動推定した後、潜在的ディリクレ配分法 (LDA) で分析を行う。LDA によって得られた潜在意味 (トピック) の混合比が歌手名同定にも適用可能であることを示し、声道長の正規化に相当する処理を導入することで、性別を超えた類似歌手検索を実現することも示す。また、トピックの混合比を用いて、各トピックにおいて支配的な曲の歌手名をタグクラウドのように提示することで、トピックや歌声の意味を可視化する方法を提案する。
著者
中野倫靖 吉井和佳 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.2, pp.1-7, 2014-08-18

本稿では、歌声と伴奏を含む音楽音響信号を対象として、「ボーカルの歌声」、「楽曲中の音色」、「リズム」、「和音進行」 の確率的生成モデルを構築し、モデルからの生成確率を計算することで、「楽曲間の類似度」 や 「楽曲のありがち度」 を推定する手法を提案する。歌声、音色、リズムに関しては、LPMCC、MFCC、Fluctuation Pattern に基づく音響特徴量を抽出し、それぞれに関して潜在的ディリクレ配分法 (LDA) を用いたトピック分析を行う。個々の楽曲毎に学習したモデルと全曲から学習したモデルから、楽曲における各音響特徴量の生成確率を計算することで、それぞれ楽曲間の類似度とありがち度を推定した。和音進行に関しては、能動的音楽鑑賞サービス Songle のコード認識結果に対し、可変長 Pitman-Yor 言語モデル (VPYLM) でモデル化した。ここでは、個々の楽曲毎に学習したモデルと全曲で学習したモデルから、各曲のパープレキシティの逆数 (各和音の平均的な生成確率) を計算することで、それぞれ類似度とありがち度として推定した。本稿では、ポピュラー音楽 3278 曲を対象として分析した結果を報告する。
著者
土井啓成 戸田智基 中野倫靖 後藤真孝 中村哲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.5, pp.1-9, 2012-08-02

歌声の声質には,歌手の個人性が反映されており,他者の声質に自在に切り替えて歌うことは難しい.そこで我々は,歌声の声質を他者の歌声の声質へと自動変換することで,任意の声質での歌唱を実現する手法を提案し,歌唱という音楽表現の可能性を広げることを目指す.従来,統計的声質変換に基づく歌声声質変換が実現されていたが,提案手法では様々な声質に少ない負担で変換可能にするため,多対多固有声変換を導入する.これにより変換時に数秒程度の少量の無伴奏歌声さえあれば,任意の歌手の歌声から別の任意の歌手の歌声への声質変換が実現できる.しかし,その声質変換モデルの事前学習データとして,ある参照歌手の歌声と多くの事前収録目標歌手の歌声とのペアから構成されるパラレルデータセットが必要で,その歌声収録は困難であった.そこで提案手法では,歌唱表現を模倣できる歌声合成システム VocaListener を用いて目標歌手の歌声から参照歌手の歌声を生成することで,その学習データ構築を容易にする.実験結果から提案手法の有効性を確認した.
著者
吉井和佳 糸山克寿 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.9, pp.1-8, 2014-08-18

本稿では,多数の楽器音が重畳している音楽音響信号を,音の三要素である音高 (基本周波数)・音色 (スペクトル包絡)・音量に分解するための確率的ソース・フィルタモデルについて述べる.ソース・フィルタ理論は楽器音分析に広く利用されており,楽器音のフーリエ変換スペクトルは,音源信号の基本周波数に起因するスペクトル微細構造と楽器音の音色を表すスペクトル包絡との積に分解される.このとき,スペクトル包絡が全極型モデルで表現できると仮定すると,理論的には線形予測分析 (LPC) を用いて,線形周波数領域でスペクトル包絡を推定することができる.しかし,実際には,調波構造のピークのみがスペクトル包絡からの信頼できるサンプルであるとみなせるため,スペクトル包絡推定に全周波数帯域を利用することは適切ではない.この問題の解決法のひとつに離散全極型モデルが知られているが,多重音に対して適用することはできなかった.本研究では,離散全極型モデルを LPC の多重音拡張である複合自己回帰モデルの枠組みに組み入れることで,調波構造が複数重畳した音響信号を扱うことができる無限重畳離散全極型モデルを提案する.本モデルは,人間の聴覚特性に則した対数周波数領域で定式化されるノンパラメトリックベイズモデルであり,適切な個数のスペクトル包絡とそこからサンプルされた適切な個数の調波構造を推定することができる.実験の結果,提案手法の有効性を確認した.
著者
深山覚 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.14, pp.1-7, 2014-08-18

ダンスと音楽が連動したデータから機械学習を行い、新しく入力する楽曲に対して 3 次元コンピュータグラフィックスのキャラクタのダンスを自動生成できる手法 MachineDancing を提案する。従来、ダンスの断片を準備しそれを確率モデルなどを用いて音楽に合わせて接続することでダンス自動生成が実現されてきた。しかしダンスの断片を切り貼りするのみで、ダンス動作自体の学習・生成手法とはなっておらず、生成結果のバリエーションに限界があった。本研究ではダンス動作の確率モデルとしてガウシアンプロセス (GP) を用い、ダンスと音楽の対応関係のみでなく、ダンス動作自体をも学習することで、新たな動作を楽曲に連動して自動生成できる手法を提案する。
著者
土井啓成 戸田智基 中野倫靖 後藤真孝 中村哲
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MUS-96, no.5, pp.1-9, 2012-08-02

歌声の声質には,歌手の個人性が反映されており,他者の声質に自在に切り替えて歌うことは難しい.そこで我々は,歌声の声質を他者の歌声の声質へと自動変換することで,任意の声質での歌唱を実現する手法を提案し,歌唱という音楽表現の可能性を広げることを目指す.従来,統計的声質変換に基づく歌声声質変換が実現されていたが,提案手法では様々な声質に少ない負担で変換可能にするため,多対多固有声変換を導入する.これにより変換時に数秒程度の少量の無伴奏歌声さえあれば,任意の歌手の歌声から別の任意の歌手の歌声への声質変換が実現できる.しかし,その声質変換モデルの事前学習データとして,ある参照歌手の歌声と多くの事前収録目標歌手の歌声とのペアから構成されるパラレルデータセットが必要で,その歌声収録は困難であった.そこで提案手法では,歌唱表現を模倣できる歌声合成システム VocaListener を用いて目標歌手の歌声から参照歌手の歌声を生成することで,その学習データ構築を容易にする.実験結果から提案手法の有効性を確認した.
著者
加藤淳 中野倫靖 後藤真孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.15, pp.1-7, 2014-08-18

本稿では、歌詞を歌声と同期してアニメーションさせる Kinetic Typography と呼ばれる動画表現の制作環境 TextAlive を提案する。既存の制作ツールでは、歌詞と歌声の同期を手作業で取り、文字や単語、複数単語から成るフレーズに対して個別に望みの動きを設計する必要があった。その際は、動きを規定するアルゴリズムのパラメタを、スライダーなどの汎用 GUI で調整して試行錯誤を重ねていた。一方、本制作環境では、歌詞と音楽の時間的対応付けを自動で推定し、動きのアルゴリズムに対する初期パラメタを自動生成する。さらに、動きのアルゴリズムを編集できるコードエディタを備え、プログラマがパラメタ調整に適した専用 GUI を容易に提供できるフレームワークを提供する。これにより、TextAlive のユーザは Kinetic Typography を一から作る必要がなくなり、初めに時間合わせなどを行う手間をかけずに済む。また、歌詞の動きをインタラクティブかつグラフィカルに設計できるようになる。
著者
中村友彦 吉井和佳 後藤真孝 亀岡弘和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.11, pp.1-6, 2014-08-18

本論文では,調波楽器音の周波数特性とドラムの音色を,音楽音響信号間で楽譜を用いずに置換するシステムを提案する.このシステムでは,まず置換元の音楽音響信号 (インプット) と置換先の音楽音響信号 (リファレンス) の振幅スペクトルをそれぞれ調波楽器音成分と打楽器音成分のスペクトルに分離し,それぞれの成分に対して独立に処理を行う.調波楽器音成分のスペクトルの周波数特性をスペクトルの山周辺と谷周辺を通る 2 つのスペクトル包絡によって特徴付け,インプットの調波楽器音成分の振幅スペクトルを,インプットとリファレンスの調波楽器音成分のスペクトル包絡が類似するように変形する.インプットとリファレンスの打楽器音成分のスペクトログラムは,各ドラム楽器毎のスペクトログラムに分離した後,ユーザによって指定されたインプットのドラム楽器の音色をリファレンスのドラム楽器の音色に置換する.主観評価実験により,提案するシステムが周波数特性とドラムの音色を適切に置換できることを確認した.
著者
岡部 晋典 福島 幸宏 村田 良二 後藤真
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.7, pp.1-3, 2011-01-15

人文科学研究には当然ながらさまざまな資料を必要とする。コンピュータを応用した研究もその例外ではない。この小特集セッションでは、人文科学とコンピュータに関わる研究の基礎となる資料について、それを扱う諸機関の現状と資料の特性を確認すると同時に、人文科学とコンピュータ研究への効果的な活用方法や、これら諸機関ではどのようなデジタル化が望まれているのかを再確認したい。In this special session, we discuss about the research materials becoming basic of "the computer and the humanities study". We discuss the characteristic of the research materials of the museum, library and archives. In addition, We argue the effective usage to the humanities and a computer study. And we consider what we expect design of digitization at the museum, library and archives.
著者
後藤真
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.9, pp.1-4, 2013-10-05

私は 2009 年度と 2010 年度に主査を拝命した。その時期のいくつかの成果と課題について簡単な報告を行う