著者
冨澤 かな 木村 拓 成田 健太郎 永井 正勝 中村 覚 福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.129-134, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)

東京大学附属図書館U-PARL(アジア研究図書館上廣倫理財団寄付研究部門)は,本学所蔵資料から選定した漢籍・碑帖拓本の資料画像をFlickr上で公開している。資料のデジタル化とアーカイブ構築のあり方を模索した結果,限られたリソースでも実現と持続が可能な,小さい構成でありながら,広域的な学術基盤整備と断絶せず,高度な研究利用にも展開しうる,デジタルアーカイブの「裾野のモデル」を実現しうる方策として選択したものである。その経緯と現状及び今後の展望について,特に漢籍・碑帖拓本資料の統合メタデータ策定,CCライセンス表示,OmekaとIIIFを利用した研究環境構築の試みに焦点をあてて論ずる。
著者
福島 幸宏
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.95-98, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
9

歴史資料、特に紙資料のデジタルデータ作成とデジタルアーカイブ構築について、筆者が直接関わった、京都府行政文書と東寺百合文書の事例を紹介しつつ、その課題を述べる。京都府行政文書は修理事業にともなってデジタルデータを作成し、東寺百合文書は従来の蓄積を活かしてデジタルデータとデジタルアーカイブを構築した。さらに、被災資料レスキューの議論や博物館・文化財保護・歴史学で論じられている、文化財修理の現在の動向も紹介し、それらからデジタルアーカイブが学ぶことが多いことを論じる。
著者
藤田 大誠 青井 哲人 畔上 直樹 遠藤 潤 菅 浩二 森 悟朗 藤本 頼生 佐藤 一伯 岸川 雅範 今泉 宜子 福島 幸宏 齊藤 智朗 昆野 伸幸 柏木 亨介 北浦 康孝 河村 忠伸 吉原 大志 吉岡 拓
出版者
國學院大學
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、「公共空間」や「公共性」をキータームとして、神道史と都市史・都市計画史、地域社会史の分野などを接続することで、具体的な史料に基づく新たな「国家神道」研究を試みた。神社境内やその隣接空間を「公共空間」として捉え、新旧〈帝都〉である東京と京都との比較の観点を導入することによって、寺院とは異なる神社独自の「公共性」の歴史や、神社の造営と環境整備に係わる人的系譜やその相関関係について解明した。
著者
福島 幸宏
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.42-44, 2021-01-12 (Released:2021-02-24)
参考文献数
10

コロナ禍は図書館や博物館にも、他の分野と同様に大きな打撃を与えた。その影響をどのように対処し、さらにそれをどのように受け止め、また次の段階にどのようにつなげていくか、デジタルアーカイブの観点からその動向を紹介した。コロナ禍への直接の対処、日常活動をコロナ状況下でどのように行うか、このコロナ禍事態をどう記録するか、という諸段階を設定して検討した結果、この状況に即座に対応できたのは、地域資料・情報の収集に日常から積極的であった文化施設である、という推論に到達した。一方で、この間に収集した資料や作成したコンテンツを今後どのように扱うのか、今後の大きな課題となる。
著者
福島 幸宏
出版者
洛北史学会
雑誌
洛北史学 (ISSN:13455281)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.29-40, 2022-06-04 (Released:2022-06-30)

歴史学を含む人文学研究の基盤や作法が、いまや根底から覆りつつある、という認識から、歴史学の変革は如何にして可能かを論じる。まず、デジタルアーカイブや人文情報学の動向を整理するなかで、歴史学の基盤があまり意識されることなくデジタル上に移行しており、さらに多様なデータがすでに公開されていることを示す。その上で、様々に方法を駆使し、さらに意識変革をともないながら、デジタル技術を歴史学の日常にし、学自体の価値を正面から押し出す方向へ転換することを提起する。このなかで、社会的課題の解消への貢献が可能であることを示すことで、歴史学の影響力の回復を目指し、現在歴史学や人文学が直面している課題を少しでも解決できるのではないか、と提起する。
著者
福島 幸宏
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.515-518, 2015

歴史資料のデジタル化とオープンデータ化について,いくつかの事例を想定しつつも,その課題を抽出して広く援用できるように論じる。まず,その対象をなるべく広げることを主眼に,歴史資料とは何かについて論じる。次に,デジタル化の一連の作業段階に応じて留意すべき点を述べる。すなわち,対象資料決定の段階,資料の整理・メタデータ付与の段階,実際のデジタルデータ作成の段階,公開の段階である。