著者
喜山 克彦 岡山 知世 志田 直樹 内山 友香理 永田 勝太郎 志和 悟子 大槻 千佳 雨宮 久仁子
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-40, 2020-01-25 (Released:2020-07-02)
参考文献数
6

筋痛性脳症/慢性疲労症候群(ME/CFS)は,原因不明の慢性で深刻な疲労,広範な痛み,睡眠障害に多彩な症状を呈する疾患である.【症例】14歳女性,ME/CFS,全身のアロディニア,両手指,両足趾の屈曲拘縮.日常生活活動(ADL)は機能自立度評価(FIM)で51/126点を認めた.【経過】補法による治療に加え,理学療法士(PT)によるリハビリテーションを行った.【結果】ME/CFSの症状およびADL(FIM 110/126点)は改善した.【考察】ME/CFS患者の活動性レベルは約50%以上の低下を来す.ある患者はひきこもりや寝たきりとなる.労作後の消耗や疲労感はME/CFSの最も顕著な特徴であり,診断基準にもかかわらず,患者たちはしばしば不適切な運動を処方される.本症例は,補法および患者の持つ資源の活用,担当PTによる適切なリハビリテーションによりADLが改善したと考えている.
著者
永田 勝太郎 志和 悟子 大槻 千佳 喜山 克彦
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.21-30, 2021-03-25 (Released:2021-04-02)
参考文献数
30

かつて,糖尿病の診断は医師の官能で行われた.糖負荷試験の開発以降は,「糖尿病」「境界型糖尿病」「正常血糖値」の区別がつくようになってきた.近年,Flash Glucose Monitoring(FGM)が開発され,患者固有の血糖値のdaily profileがさらに簡単にわかるようになってきた.そこで,低血糖・血糖値スパイクが問題になってきている.線維筋痛症や慢性疲労症候群の背景にこれらの糖代謝異常が潜在していることがわかってきた.低血糖は80mg/dl未満を指し,血糖値スパイクは食後最大血糖値と最低血糖値の差が60mg/dl以上を指す.FGM時代を背景に低血糖を分類すると,以下のようになる.1.糖尿病性低血糖―緊急性低血糖発作 2.非糖尿病性低血糖(自発性低血糖症)(1)機能性低血糖―無反応性低血糖・反応性低血糖(血糖値スパイク)・新生児低血糖 (2)器質的低血糖―インスリノーマ,インスリン自己免疫症候群・ダンピング症候群など胃切除術後 (3)薬剤性低血糖 (4)偽低血糖・虚偽性低血糖