著者
加藤 晃己 喜山 克彦 杉山 和成 志田 直樹 絹川 典
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.40-49, 2021-03-25 (Released:2021-04-02)
参考文献数
16

筋痛性脳症/慢性疲労症候群(ME/CFS)とは,原因不明の慢性で深刻な疲労や広汎な痛み,睡眠障害などの多彩な症状を呈する疾患である.今回,自閉スペクトラム症(ASD)と注意欠如・多動症(ADHD)が併存する神経発達症群に合併したME/CFSの1例を報告する.【症例】14歳,男性,神経発達症群,感冒を契機に多彩な身体症状を呈し,ME/CFSと診断された.低血糖とグルコース・スパイクが認められた.治療は補剤の投与と食事指導を行った.実存的資源であるマリンバ演奏を支持した.発症後5ヶ月での学習環境の調整を機に症状は改善しME/CFSの診断基準から外れた.低血糖とグルコース・スパイクの頻度は軽減した.【考察】神経発達症群に合併したME/CFSの1例に対して,社会的ストレス軽減のため学習環境を調整することと周囲の理解を得ることが最も治療効果があった.その上で衝動性に関与する可能性のある低血糖やグルコース・スパイクを改善するための食事指導が成り立つと考えられた.
著者
喜山 克彦 岡山 知世 志田 直樹 内山 友香理 永田 勝太郎 志和 悟子 大槻 千佳 雨宮 久仁子
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.29-40, 2020-01-25 (Released:2020-07-02)
参考文献数
6

筋痛性脳症/慢性疲労症候群(ME/CFS)は,原因不明の慢性で深刻な疲労,広範な痛み,睡眠障害に多彩な症状を呈する疾患である.【症例】14歳女性,ME/CFS,全身のアロディニア,両手指,両足趾の屈曲拘縮.日常生活活動(ADL)は機能自立度評価(FIM)で51/126点を認めた.【経過】補法による治療に加え,理学療法士(PT)によるリハビリテーションを行った.【結果】ME/CFSの症状およびADL(FIM 110/126点)は改善した.【考察】ME/CFS患者の活動性レベルは約50%以上の低下を来す.ある患者はひきこもりや寝たきりとなる.労作後の消耗や疲労感はME/CFSの最も顕著な特徴であり,診断基準にもかかわらず,患者たちはしばしば不適切な運動を処方される.本症例は,補法および患者の持つ資源の活用,担当PTによる適切なリハビリテーションによりADLが改善したと考えている.