著者
新田 米子 志水 暎子 小川 裕子 神川 康子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<br><br>目的 高齢の親世帯と子世帯間の居住距離に着目し、親子双方が安心・満足できる住み方を探ることをねらいとし、本報では、将来子世帯が親世帯側への同居や近居を希望する場合の住み替えを促す要件について明らかにしようとするものである。<br><br>方法 中部・北陸地方における親子の居住関係の動向「その1」と同一のデータ(n=411)を用いて分析を行っている。調査方法は「その1」に準ずる。<br><br>結果 現在親と別居の子世帯において、今後親が病弱になった時の住み方ついては、半数強が「わからない」状態であるが、「現在と同距離で別居」や「自分の家での同居か近居」の希望がやや多く、「親の家で同居」または「親の家の近くで住む」とする世帯は1割強にとどまる。結婚後20年未満で現在の住み方に至る世帯が多く、20年以上経過すると住み替えがかなり減少する傾向が認められる。親側への移転を望む場合の居住距離は、「近居・片道15分未満」、「隣居」、「同居」の順となる。親側への住み替えにあたって問題となることは、「親の世話の負担」をあげる人が「住宅購入費」、「住宅探し」に比較しやや多い。さらに、移転するにあたって国・自治体・第三者機関等に期待する支援内容は、「親の世話・介護にあたっている人たちの交流の場の提供」、「介護・介護予防等に関する地域住民の活動を支援する場の提供」、「住宅建て替え費用に対する減税措置」などへの期待が少なくないことが明らかとなった。
著者
泉谷 秀子 大野 庸子 島田 裕子 志水 暎子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.808-813, 1985

本研究は, 名古屋市内の民間企業の供給するマンションの管理の実態と居住者の意識を調査し, よりよい管理のあり方を確立するための基礎資料とするために調査を行い, 管理形態や業務の実態は, マンションのカ所数を単位とし, 意識については, 居住者個人を単位として集計し, 次の結果を得た.<BR>1) 管理形態は, 自主管理2割, 会社管理8割弱であり, 101戸以上の大規模では, 8割強が会社管理である.<BR>2) 実働管理希望は, 3.5割で, 年収が高くなるにつれて低くなる.<BR>3) 管理人のいるマンションは7.5割.管理費が高くなるにつれて, 管理人への不満が高くなる.<BR>4) 修繕積立金は, 8.5割がしており, 1戸あたり月額500円前後と, 1,000円前後が多い.積立金については, いまのままでよいとする者が多く, 転居希望者は積立金についての意識が低い.<BR>5) 個々のマンションの規模, 居住者の社会的属性などによって, 管理方式の最適化はさまざまであろうが, よりよい管理とは何かについての最大公約数は, まず居住者による管理組合を結成し, 維持管理について自分たちで可能な仕事と, 専門業者に委託すべき, あるいは委託したほうがよい仕事を明確にし, 業者を選定して委託し, その分担範囲によって, 適正管理費を算定することと考えられる.大修繕および将来の建替えまでも見通した計画的な資金づくりのため, 積立ての実行, またこれらの話合いを積み重ねることによって, おのずとコミュニティが醸成され, 共同生活のルールもつくられていくことであろう.<BR>しかし, 居住者レベルでは, 方向を見いだしにくい問題もあるので, 必要に応じて正確な情報が入手できるように, 行政や第三者機関など専門の相談窓口を設けることも必要である.