著者
志賀 薫 増田 美砂 御田 成顕
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1-13, 2012
参考文献数
47

本研究では,ジャワの林業公社が2001年に導入したPHBM(住民共同森林管理)の地域開発および森林保全に対する効果を明らかにした。PHBMはLMDH(森林村住民組織)が割当林班の保全を行う対価として,林業公社側は収益の分配を行うという互恵的関係を基軸に,割当林班のもたらす収入機会を排他的に利用する権利を認めるという点において,それ以前の地域対策と異なっていた。しかし,中ジャワ州プマラン県P村の事例では,LMDHの執行委員のみが運営に関与し,収益の分配をはじめ,様々な特権を得ていた。また,PHBM実施後,統計上は管区内の盗伐は収束したが,PHBMに対するP村住民の認知度が低かったことやLMDHの活動開始時期,盗伐の収束はPHBMの効果によるとは断定し難く,チーク林資源の減少も影響していたと考えられた。PHBMは,運用段階において問題が多く,LMDHの運営の在り方を改めて検討する必要がある。
著者
池田 友仁 志賀 和人 志賀 薫
出版者
一般財団法人 林業経済研究所
雑誌
林業経済 (ISSN:03888614)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.9-28, 2017 (Released:2017-07-01)
参考文献数
21

本論文では、2000年に地種区分の見直しが行われた秩父多摩甲斐国立公園を事例に地域制国立公園の理念が地種区分と施業規制にどのように反映されているか、その実態を明らかにした。このため、国立公園地域の施業規制の実態と森林所有者に対する地種区分の決定過程を検討し、多摩川・荒川源流部の埼玉国有林と水道水源林の森林管理計画と施業区分の変遷から地種区分の変更が森林施業に与えた影響を小班単位に分析した。地種区分の見直しの際に国・都県と東京大学秩父演習林には、関東地方環境事務所から事前協議が行われたが、東京大学秩父演習林以外では当時の記録は確認できず、私有林所有者への対応は関係都県に任され、公示後に初めて見直し結果を知ったとする私有林所有者もみられた。土地所有権の制限を伴う地種区分の根拠と決定過程の透明性の確保や多様性を持つ地権者の森林管理の実態解明とともに専門的技術者や情報を持たない私有林所有者に対する支援が必要となる。
著者
志賀 薫
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (農学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6122号)