著者
松井 健一 増田 美砂 杉藤 重信 伊藤 太一 渡邉 和男 西川 芳昭
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

環境ガバナンスに資するデータベースの概要を研究代表者が管理するウェブサイトに構築するとともに、伝統知とその法的問題点について査読入り学術図書1冊と当該課題に関する査読入り学術論文を4本出版した。学会発表は7回行った。また、毎年著名な研究者を筑波大学と国連大学高等研究所へ招へいし、シンポジュウムと研究者交流を行い、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ドイツ、インド、ブラジルの研究者との共同研究へとつなげることができた。当該課題に関する修士論文を3本主査として指導した。
著者
しもなぺんでぃ まりあ るでぃあ 増田 美砂 ぷらせちお りりく ぶでぃ だまやんち えりん
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

Community Forestry (CF) is a successful participatory approach to protect the forest in Nepal. However recently, uneven distribution of forest products among the members has been discovered. Therefore, this study aimed to re-examine the equality and equity of forest products consumption and community development. 
著者
志賀 薫 増田 美砂 御田 成顕
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.1-13, 2012
参考文献数
47

本研究では,ジャワの林業公社が2001年に導入したPHBM(住民共同森林管理)の地域開発および森林保全に対する効果を明らかにした。PHBMはLMDH(森林村住民組織)が割当林班の保全を行う対価として,林業公社側は収益の分配を行うという互恵的関係を基軸に,割当林班のもたらす収入機会を排他的に利用する権利を認めるという点において,それ以前の地域対策と異なっていた。しかし,中ジャワ州プマラン県P村の事例では,LMDHの執行委員のみが運営に関与し,収益の分配をはじめ,様々な特権を得ていた。また,PHBM実施後,統計上は管区内の盗伐は収束したが,PHBMに対するP村住民の認知度が低かったことやLMDHの活動開始時期,盗伐の収束はPHBMの効果によるとは断定し難く,チーク林資源の減少も影響していたと考えられた。PHBMは,運用段階において問題が多く,LMDHの運営の在り方を改めて検討する必要がある。
著者
三柴 淳一 Vincent Pullockaran 那須 嘉明 増田 美砂
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.114, pp.35, 2003

1. 背景および目的森林資源を有する開発途上国は現在,開発と保全の両立という問題に直面している。これまで多くの国では政府主導による管理が行われていたが,地域住民の協力が保全の鍵となることが明らかになるにつれ,森林管理における住民参加が急速に普及しつつある。こうした世界の潮流に先駆けて共同森林管理(Joint Forest Management,JFM)に着手したのがインドである。インドの人口は10億を超え,さらに拡大しているにもかかわらず,FAOによると過去10年間の森林面積は0.1%とわずかながら増加に転じている。そこで本研究では,実際にどのような人々がJFMに参加し,どのような活動を行っているのかを具体的な事例に則して明らかにし,その結果をもとに森林保全に果たす参加型森林管理の役割について考察したい。2. 研究の方法調査地としては,819人/km2(2001年)という全国平均の2倍以上の人口密度を抱えながら高い森林率(28.6%)を維持しているケララ州を選び,2002年9月__から__11月に現地調査を行った。まず森林官などキーインフォーマントへの聞き取りや二次資料による概況調査を行ったところ,ケララ州では近年になってJFMを応用した参加型森林管理が実施されるようになり,それらはParticipatory Forest Management(PFM)と総称されていることがわかった。次に比較的早くからPFMが導入されているトリシュール県ランドゥカイ村の事例を取り上げた。ランドゥカイの地理条件は,中規模都市からバスで1時間の距離,背後には保護対象の国有天然林とティーク人工造林を控える都市近郊の側面も有する農村地域である。地域住民で組織され,PFMを運営している森林保護委員会Vana Samrakshana Samithies(VSS)の構成員から無作為に抽出した40世帯を対象に,__丸1__家族構成,__丸2__土地所有,__丸3__農業活動,__丸4__農業・農外収入,__丸5__森林への依存についての聞き取り調査を行った。3. 結果および考察インドの森林をめぐる決定はトップダウン方式でなされ,中央政府の方針にしたがい州政府において具体的な行動計画が策定され実施されている。PFMにおいては画一的なモデルを避け,地域情勢を考慮した様々なヴァリエーションを設けている。ただし,モデルの設定は住民参加によるボトムアップではなく,現状では州政府レベルで開発した雛型を現地に適用する形式を取っている。ランドゥカイ村は,過去の森林解放と不法侵入によって形成されたという経緯を持ち,すべての住民が他地域からの移住者である。VSSには国有林周辺に居住する人々が概ね組織され,VSSの中心メンバーによって策定された5ヵ年計画,マイクロプランに基づき活動している。ただし2001年7月の実施以来行われた活動は,わずかな植林と現在区域の見回りが行われているのみであり,むしろ定期集会や実行委員会会議を通じた啓蒙活動が活動の中心となっている。参加住民への聞き取りによると主な参加の理由は,VSS実行委員による勧誘であり,次に職の機会を期待してであった。活動開始後の全体集会への参加状況については,参加理由に何らかの目的があった人々を除くとあまりよくない。しかし,ランドゥカイは小農村ながら人材豊富でVSS代表者は経済学修士,実行委員も短大卒以上が4割,また一般メンバーにおけるリーダー的存在には元小学校校長がいる。参加住民の生活状況は自らの農地でゴム園やココヤシを主体とするアグロフォレストリーを営んでいるが,家計は農外収入で補っており,出稼ぎや仕送りに依存する世帯も少なくない。国有林内では,管理協定で認められた薪炭材やわずかな非木材林産物の採集だけが行われ,禁止されている放牧は今も続いているが,地域内の家畜数自体が少ない。牛,ヤギとも調査対象世帯平均で0.5頭であった。またVSS活動開始後に林産物採集場所を変更したのは40世帯中1世帯のみであった。当該地域では林地の境界がすでに確定しており,その後の急激な森林減少は認められない。森林の行方を規定する要因はむしろ,森と住民という二者間の直接的関係ではなく,土地利用や就労機会など両者をとりまく地域の経済構造全体にもとめるべきである。PFMが森林保全に果たす役割としては,それまで少しずつ進行していたであろう資源の劣化を,同様に緩やかに回復に向かわせるという点,現在土地依存傾向の見られる地域情勢が今後変化した際,国有林に対するバッファーゾーンになり得る可能性および雇用創出の可能性に認められるが,それを直ちに州やインド全体に見られる森林増加という逆転現象の説明に用いるにはいささか無理がある。また森林管理のあり方を考えるに際しては,林地という限定された側面だけに注目するのではなく,地域の持つ様々な条件全体を考慮した設計を行う必要があると思われる。
著者
齋藤 達也 加藤 亮 御田 成顕 Indra Kumara 増田 美砂
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.114, pp.36, 2003

1.目的および方法 本研究では、地理的に隔離され域外への木材の輸送ができないという限定された条件を持つ地域において、人口の動態によって森林がどのような影響を受けるのかを探る。また、その影響を左右する要因について考察する。本研究では、衛星画像によって森林保全の評価を行うために、グランドツルースとして訪ねた地点の座標とその地点の概況を記録した。画像データは、Path:118、Row:57のLandsat TM(1991/6/14)、Landsat ETM+(1999/12/21、2002/5/19)を利用した。また、人口動態を知るために、クラヤン郡の人口統計資料を収集するとともに、ケラビットへ出稼ぎをしている人が多いL村において、全41世帯のうち19世帯に対し、聞き取り調査を実施した。2.調査地の概況 調査地は、東カリマンタン州の東北部のヌヌカン県クラヤン郡(以下、クラヤン)で、マレーシアのサラワク州およびサバ州に境界を接し、面積3170km2,世帯数1957世帯、人口9199人(2001年)である。周囲を山岳に囲まれているため交通のアクセスは悪く、インドネシア側からはヌヌカンとタラカンなどからの空路のみである。陸路は唯一サラワク側との間に1本あるが、国境に入国管理事務所がないため、その陸路もインドネシアの独立記念日に開かれるのみで、自動車を利用した輸送には利用できない。同じ民族が国境をを挟んで両国の山間地域に生活していて、姻戚関係を持つ世帯もあり、日常的な徒歩での行き来もある。サラワク側はケラビット・ハイランドと呼ばれ、マレーシアの経済発展により都市部への人口流出によって、人口の減少及び高齢化が進んでおり、焼き畑地が放棄され2次林が回復しているといわれる。これに対し、クラヤンでは、人口は微増しており、人工衛星の画像からは森林回復は全く否定的と判読された。1960年代の国境紛争時にインドネシア政府によって集村化が行われ、現在27の地区(Lokasi)に89の村(Desa)が集められていて、1つの集落が数村からなることもある。集村化の際には、火事による損害軽減のためにかつてのロングハウス居住形態が解体され、戸別の住居に転換された。ケラビットではロングハウスが残るのとは対照的である。クラヤンの主な産業は米作で年1作であり、生産された米はマレーシアに売りに行き、そこで生活に必要な物を購入してくるというように、クラヤンはマレーシアとの結びつきが強い。また、ケラビットの不足した労働をクラヤンからの出稼ぎが補ってもいる。3.結果 郡長や住民へのインタビューから、現在クラヤンにおいては焼き畑を行っているものはほとんどいないことがわかった。理由は、焼き畑による陸稲栽培は多大な労力の割に収量が少なく、水稲栽培を選ぶからである。しかし、クラヤンでは樹木がない山が多く見られ、その理由については野焼きの火が飛び火し、コントロールが効かなくなり山火事になったためと説明された。特に、1997年は山火事がひどかったとのことである。L村では、徒歩で8時間のケラビットのバリオに出稼ぎに行く者が多く、中にはバリオに水田を借りて水稲栽培をしている世帯もあった。つまり、自分の水田で生産した米の売却と出稼ぎによって得る収入が家計を支えている世帯が多い。森林利用については、チェーンソーを19世帯のうち12世帯が所有し、自己消費の薪炭材および建築用材を近くの山から伐採している。また、伐採した材は水牛によって搬出し、クラヤン郡内の町に売りに行くこともある。チェーンソーを持たない世帯でも、親戚から借りることによって必要な木材を調達している。4.考察 人口動態は、経済格差により生じることがあり、それによって森林の保全に差異を生じることが上記の調査によってもわかる。ケラビットでは、国内の経済格差により人口が流出し、それによって焼き畑が放棄され森林が回復している。これに対し、クラヤンでは経済危機から回復しない国内の都市部に向かうよりも、隣接するマレーシアに出稼ぎに出かけ、それによって生計が安定的に支えられ、人口を維持することができる。しかし、それにより山火事の原因となる野焼きの機会が多くなり、森林が消失していると考えられる。このように国内の経済発展により、森林のある山間部から人々が流出することによって、森林は保全されるのかもしれない。しかし、これはケラビットやクラヤンのように木材の搬出路を持たない場合である。つまり、木材資源があってもそれが経済的な価値を持たなければ、商業的な森林伐採は成立しない。現在、クラヤンと外部とを結ぶ道路が計画されている。この道路が開通したとき、この地域の森林がどのような変貌を遂げるのか、興味深い。また、クラヤン内にはカヤン・ムンタラン国立公園があり、エコツーリズムも期待される。
著者
前島 治樹 藤平 啓 御田 成顕 増田 美砂
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.125, 2014

本報告では、インドネシアのグヌンパルン国立公園を事例として、森林減少に直接的な影響を与える土地利用を特定し、国立公園管理の課題を明らかにする。まず、USGSから取得した1997年、2001年、2005年、2009年のLandsat TM/ ETM+および2013年のLandsat 8の衛星画像を用い、教師付き最尤法による土地被覆分類図を作成した。その結果、解析対象地域内の国立公園面積4,916 haのうち、森林消失面積は、2001~2005年に60 ha/年と最も大きく、2009~2013年は31 ha/年へと減速していた。国立公園外の3,175 haにおける森林消失に関しては、1997~2001年の19 ha/年が、2005~2009年に42 ha/へと増加したが、2009~2013年は4 ha/年と激減した。国立公園内外の1997年~2013年の土地被覆変化モデルを比較すると、森林がゴム林あるいは農地に変化した面積の比率は公園内の方が5%高かった。全体的な森林破壊の減速には、国立公園事務所による取り締まり強化の影響があると考えられるが、森林の農地転換にみる公園内外の相違は、公園外における適地の枯渇を示唆している。
著者
増田 美砂
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(B)2009-2011
著者
若月 利之 石田 英子 増田 美砂 林 幸博 広瀬 昌平 TRAORE S.K.B ALLURI K. OTOO E. OLANIYAN G.O IGBOANUGO A. FAGBAMI A. 小池 浩一郎 宮川 修一 鹿野 一厚 中条 広義 福井 捷朗
出版者
島根大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

ナイジェリア中部ニジェール洲、ビダ市付近のエミクパタ川集水域のヌペ人の村落から農民の参加意欲と土と水条件より5ケ村のベンチマーク村落を選んだ。アジア的な水田稲作とヌペの伝統的低地稲作システムを融合させながら展開するための実証試験をニジェール洲農業開発公社の普及研究員と国立作物研究所の研究員の協力を得ながら、農民参加により実施した。又、多目的樹種を中心にした育苗畑の整備と管理法及び成熟苗を利用したアップランドにおけるアグロフォレストリーの実証試験も実施した。東北タイより収集した品種特性の異なるタマリンドの種より育苗した。次年度には移植する予定。ガーナのクマシ付近のドインヤマ川小低地集水域でも、同様の水田農業とアグロフォレストリーを農民参加により実施することにより、劣化集水域を再生するための実証試験を実施するに当たって必要な土と水と気象条件、在来の農林業システム、村落の社会経済的条件等、各種の基礎的調査を実施した。一部では水田造成と稲作、村落育苗畑等の小規模実証試験を行った。ニジェールのドッソ付近のマタンカリ村付近のサヘル帯の小低地集水域でも同様の基礎調査を実施した。タイとインドネシアでは西アフリカに応用可能な農林業システムの文献資科や、上述のように樹木のタネ等を収集した。アジアと西アフリカの研究者と意見交換し、農林業システム融合の条件を検討した。又、タイで採取した樹木種子はナイジェリアの苗畑で発芽生育させ、生育は順調なので移植を準備中である。フィリピンでは世界の稲作システムに関する既存の資料を収集した。