- 著者
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掛谷 佳昭
山本 洋司
渡辺 広希
惠飛須 俊彦
- 出版者
- 一般社団法人 大阪府理学療法士会生涯学習センター
- 雑誌
- 総合理学療法学 (ISSN:24363871)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, pp.9-16, 2021 (Released:2021-06-30)
- 参考文献数
- 34
【目的】レンズ核線条体動脈(lenticulostriate artery:以下,LSA)領域のBranch Atheromatous Disease(BAD)患者に対する発症24時間以内の離床が運動機能および進行性脳梗塞に及ぼす影響について後方視的に検討すること。【方法】対象は2014年から2018年に当院へ入院したLSA領域のBAD患者とし,早期群と通常群の2群に分けた。年齢,性別,BMI,脳卒中危険因子,脳卒中既往歴,発症前modified Rankin Scale(mRS),入院時National Institute of Health Stroke Scale(NIHSS),発症から立位開始までの時間,入院時および転帰時の下肢Fugl-Meyer Assessment(FMA),転帰時Barthel Index(BI),転帰時Functional Ambulation Categories(FAC),進行性脳梗塞の有無,進行性脳梗塞例の離床前後の収縮期血圧,リハビリ実施時間,実施回数について調査した。【結果】早期群17名,通常群13名であった。転帰時の下肢FMAは入院時と比較して両群共に有意に高値であった。BIは両群間に有意差を認めなかったが,自力歩行獲得例は通常群と比較し早期群で有意に多かった。進行性脳梗塞は両群間で有意差を認めなかった。【結論】LSA領域のBAD患者に対する発症24時間以内の離床は,安全かつ運動機能,歩行能力向上に繋がる可能性が示唆された。今後は研究デザインやサンプルサイズを考慮したさらなる研究の実施が必要になる。