著者
成田 雅樹 NARITA Masaki
出版者
秋田大学教育文化学部附属教育実践研究支援センター
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 = BULLETIN OF THE CENTER FOR EDUCATIONAL RESEARCH AND PRACTICE FACULTY OF EDUCATION AND HUMAN STUDIES AKITA UNIVERSITY (ISSN:24328871)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.15-24, 2017-03-31

この論文は小学生の言葉の使い間違いを収集し,分析した結果を述べるものである.収集した間違いは158事例であった.分析は学年ごと,間違いが表れている言語単位ごと,間違いの種類ごと,原因の推定ごとに行った.顕著に言えることは概ね以下の通りである.言語単位では,「音・文字」に表れる間違いが最多であり,特に「長音」に関するものが多い.この「音・文字」に表れた間違いの種類は,ほとんどが「欠落」と「錯誤・不使用・不足」である.しかも「錯誤・不使用・不足」は,誤りの種類のなかで最多であった. 原因推定では,「意識希薄」が最多であり,「音・文字」や「語」で「口語表現」になっている誤りが過半数を占めている.この場合の誤りの種類も,すべて「錯誤・不使用・不足」であった.学年別に見ると,すべての学年で「聞き違い」や「不注意」による「音・文字」の誤りが多かった.
著者
成田 雅樹 大熊 徹 長崎 秀昭 藤井 知弘
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

活用型授業を「既習事項明示型」「活用状況設定型」「活用場面付加型」「授業内活用確認型」「関連学習型」の5類型に整理して実践事例を分析した結果、活用実行型が多く活用想定型が少ないことを明らかにした。既習事項明示型とは当該単元または当該授業の学習において活用される既習事項を学習者に提示して行うものである。活用状況設定型とは実際には活用まで行わないが仮に当該の学習内容を活用するとしたらどのような状況が考えられるか学習者に提示するものである。活用場面付加型とは実際に単元の終末の時間に学習内容を活用する活動を行うものである。これを単位時間内に行うものが授業内活用確認型である。関連学習型はたとえば読解学習で習得した文章構成に関する知識を自らの表現活動で使用すると言った「読み書き関連学習」などである。さて、分析の結果他にも教科内活用型が多く、他教科活用型や実生活活用型が少ないことが明らかになった。さらに、技能活用型が単元をまたぐ長いスパンに見られ、内容活用型が単元内などの短いスパンに見られることも明らかにした。これは、いわゆる活用型授業を実践する際の現場の指針になる基礎情報であり、言語活動の充実のあり方に対する示唆でもある。