著者
日浦 幹夫 織田 圭一 石渡 喜一 前原 健寿 成相 直 牟田 光孝 稲次 基希 豊原 潤 石井 賢二 石橋 賢士 我妻 慧 坂田 宗之
出版者
日本脳循環代謝学会
雑誌
脳循環代謝(日本脳循環代謝学会機関誌) (ISSN:09159401)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.297-302, 2017

<p>運動介入が脳機能の保持・改善に重要な役割をもつことが疫学および臨床研究により提唱されてきた.運動が脳機能に及ぼす影響と関連する生理学的背景を探索する目的で,PETを活用して有酸素運動による局所脳血流量(regional cerebral blood flow: rCBF)と脳μ-オピオイド受容体系の変化を検討した.oxygen-15-labeled water(<sup>15</sup>O-H<sub>2</sub>O)を用いたPET研究では有酸素運動中に一次運動感覚野,小脳,島皮質などで広範な脳領域でrCBFが増加することが示され,このような変化は局所の神経活動の亢進や周辺の神経受容体への影響を介して運動による神経可塑性の発現のメカニズムに関与することが推測される.<sup>11</sup>C-Carfentanil を用いたPET研究では有酸素運動後に生じるポジティブな気分変化や激しい運動に伴う疲労の発現に辺縁系や下垂体に分布するμ-オピオイド受容体系が関与し,その変化には運動強度の違いや気分変化の個人間差が影響することが提示された.PETを活用した神経画像研究は,運動に伴う脳機能変化のメカニズムに関与する要因であるrCBFおよび神経受容体系の変化を検証するために有用な手法である.</p>
著者
松村 明 山本 哲哉 熊田 博明 中井 啓 磯部 智範 成相 直
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

神経膠芽腫に対するホウ素中性子捕捉療法の臨床的有用性を証明するための臨床研究を行った。初発神経膠腫例では、無病再発期間14か月、生存期間21か月を得た。再発悪性脳腫瘍、膠芽腫1例、悪性髄膜腫1例の治療を行った。再発膠芽腫はBNCT治療後2年を経て放射線壊死、皮膚壊死あるも腫瘍再発なく生存, 家庭内軽介助。髄膜腫症例は再発の兆候なくKPS90%を維持し2年経過と良好な結果を得ているが、原子炉の利用が制限され、症例の蓄積による分析は中断された。