著者
萩原 克幸 戸田 尚宏 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2058-2065, 1993-09-25
被引用文献数
35

階層型ニューラルネットワークの学習法としてバックプロパゲーションを用いる場合,ネットワーク構造が適切でないと,学習した入出力関係が獲得すべき入出力関係からずれてしまう.こうしたことから,情報量規準AIC(Akaike's Information Criterion)による構造決定が試みられているが,その有効性に関してAICの導出に立ち入った考察はなされていない.一方,最近,同じ出力を与える階層型ネットワークの結合重みは必ずしも一意性をもたないことが指摘されている.本論文では,3層階層型ネットワークを用いた非線形回帰モデルに対して,結合重みの非一意性のために,AICが導出できないことを示す.また,数値実験に基づき,3層階層型ネットワークを用いた非線形回帰モデルの複雑さに関して考察した.更に,AICを直接適用した場合,線形回帰モデルと比較して多めのパラメータ数(中間ユニット数)が選択される傾向にあることを数値的に確かめた.本論文の考察結果は,一般に,漸近展開による方法で構成された規準に対して,結合重みの非一意性が無視できないことを示したものである.ネットワークの構造決定規準を構成するためには,その統計的性質に関する考察がまだ不十分であるように思われる.
著者
湯浅 賢太郎 岡村 加奈 戸田 尚宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.260, pp.25-29, 2006-09-20
参考文献数
7

現在普及しているX線CTは,高電圧で大電流を必要とするX線管球への電力供給や,管球とディテクタを患者の回りで回転させるための機構が必要であるため,装置全体が未だ非常に大きく専用の投影室が必要である.しかし移動が困難な患者のため,病室等へ装置を移動させ撮影を行うために診断装置の小型化,可搬型(ポータブル)化が強く望まれている.本研究では,近年開発されたフラットパネルディテクタ,及び開発中である超小型冷陰極X線管球を利用できると仮定した上で,現在のところ明確な概念のないポータブル(可搬型)CT診断装置の一つの形態を提供し,その形態の制約条件下でどの程度の画像再構成能力があるか検討を行った.
著者
山崎 陽一 戸田 尚宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.479, pp.101-106, 2009-03-04

Dual-Energy X線CT(DECT)は,既存の単色X線CTよりも,物質に関する特徴的な情報を得ることができる.しかし,単色X線CTと同程度の照射線量の場合,DE X線CTで得られる再構成画像には多くの雑音が含まれるという問題がある.そこで,再構成画像上の雑音を除去または低減する技術がKalender等により提案された.しかし,そこでの結果は通常用いられる数十倍の照射線量におけるものであり,通常の照射線量における検討がなされていない.本報告では,数値実験によりこの点について解析を行い,照射線量の低下に伴い直線状アーチファクトが生じ,この影響からKalenderの方法が正しく機能しなくなることを確認する.さらにこの問題を解決する新たな手法を提案する.